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研究者トークを開催しました

印刷用ページを表示する掲載日:2019年6月6日更新

みなさん、ニュートリノ感じてますか!?

サイエンスコミュニケーターの高知尾です。

 

カミオカラボでは先日、開館後初めてのイベントが開催されました。

カミオカラボがある飛騨市神岡町では日夜数十人の研究者が研究に勤しんでいます。

しかしながら神岡町に住む私たちも、普段の生活では研究者の方々とお会いして話す機会はそう多くはありません。

 

そこで今回は研究者と飛騨市民、それからカミオカラボを訪れてくれた市外からの訪問者が気軽に交流できる場として「研究者トーク」を開催いたしました。また、研究者にとっても自分の研究内容を専門ではない人に紹介する機会として活用していただきたいという想いもありました。

 

記念すべき第一回研究者トークのゲストを引き受けて頂いたのは、東京大学宇宙線研究所重力波観測研究施設の横澤孝章特任助教です。

カミオカラボ入口でポーズをとる横澤さん

カミオカラボ入り口でポーズをとる横澤さん

 

横澤さんはスーパーカミオカンデの研究で博士号を取得された後、重力波の研究をするために重力波望遠鏡KAGRAに携わっています。KAGRAはスーパーカミオカンデと同じ池の山という山の中に設置された装置で、レーザー光線を使って重力波の観測を目指しています。その直径は3kmとスーパーカミオカンデを超える巨大装置です。

 

トークのタイトルは「重力波とニュートリノの同時観測?!超新星爆発の謎に迫る」。ニュートリノと重力波という2つの研究に携わってきた方から直接この話を聞けるのは貴重な機会です。

 

しかし、「超新星爆発を同時観測」するとどんな良いことがあるのでしょう。

 

横澤さんは、小学生の頃から星に興味があったそうです。その後、高校、大学と進むうちに夢は少しずつ具体的になっていきます。そして、星が輝くメカニズムを物理的に明らかにしたいと思うようになります。

 

「超新星爆発」とは星が最後に寿命を迎えて明るく輝く爆発現象です。宇宙には無数の星がありますが、地球の近くで起きる超新星爆発となると頻度は多くはありません。私たちの住む天の川銀河の中で起きる頻度は数十年に1度と言われています。前回の近傍での超新星爆発は、天の川銀河の隣の大マゼラン雲内で1987年のことです。その時には、肉眼でも見える明るさになり、そこから放出されたニュートリノを「カミオカンデ」で初めて捉えることに成功し、小柴昌俊博士のノーベル物理学賞につながりました。あれから30年余年。次の爆発がそろそろ近くで起きてもおかしくはありません。

 

横澤さんはこの超新星爆発からのニュートリノを「スーパーカミオカンデ」で、重力波を「KAGRA」でそれぞれ同時に捉えることができるだろうと考えています。ニュートリノは超新星爆発の際の中心部の熱の様子を、重力波は中心部の物の動きの様子を、それぞれ伝えてくれる言い、これに加えて光でも同時観測することでひとつの星の爆発を複数の眼で見ることになります。それによって爆発のメカニズムが明らかになってくると言います。

 

横澤さんによると、次に近傍で超新星爆発が起こった時にKAGRAをはじめとした重力波観測網が整っていることで、1987年のお祭りを超えるさまざまな知見が天文学、素粒子物理学にもたらされることが期待できるそうです。幼い頃から星を観測することが夢だった横澤さんはその時に、KAGRAの研究者として独創的な知見を与えられるように今から準備していると言います。

 

当日はメディアの取材も入っていたため作業服で来たことを気にされていた横澤さんでしたが、参加者としては普段は見られない研究者のリアルな姿や、研究所での暮らしの様子を直に知ることができてとても貴重な経験になったことと思います。

リアルな研究生活について紹介する横澤さん

リアルな研究生活を紹介する横澤さん

 

さて、この「研究者トーク」ではその回のゲストが次のゲストを紹介するルールとなっています。

(勝手にルールにしてしまいました汗)

 

ということで…、

 

7月の研究者トークの開催が決定いたしました!

 

日時は7月21日(日曜日)。ゲストは東京大学宇宙線研究所の池田一得さんにニュートリノ研究に関するお話を伺う予定です。詳しいテーマはカミオカラボのホームページの「イベント」のページとtwitterで告知する予定ですのでお見逃しなきよう。

 

それでは!


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