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お寄せいただいた質問と回答 パート4

印刷用ページを表示する掲載日:2019年7月29日更新

ニュートリノ!

こんにちは。サイエンスコミュニケーターの高知尾です。

 

今回は久しぶりに、お寄せいただいた質問への回答ブログを書きます。

過去の質問はこちらです。

パート1, パート2, パート3

 

今回はカミオカラボ入り口にある下のイラストにも表現されている「超新星爆発」に関する質問です。(ちなみに、こちらのイラストには無数のニュートリノが降りそそぐ神岡町の街並みが表現されています。神社や城やレールの上を走る自転車のアトラクションなどなど、見つけられますか??)

超新星イラスト

カミオカラボの入り口にあるイラスト

 

質問1

超新星爆発を観測できたことはありますか?

(ペンネーム 40年後さんより)

 

回答

史実として残っている中で、最も明るく輝いたと考えられている超新星爆発は西暦1006年に観測されているようです。このころは当然、望遠鏡などはない時代のため肉眼で観測したことになりますが、それでもヨーロッパ〜中東〜中国〜日本と多くの国で記録が残っているそうです。

この時の超新星は現在では下の写真のような残骸として残っており、観測技術が発達した現代では複数の方法で観測に成功しています。

観測の結果、地球から約7000光年の距離であることがわかっています。

超新星エスエヌイチマルマルロク

超新星残骸 SN1006 [Image Credit:NASA, ESA, Zolt Levay (STScI)]

 

その後も、何度か超新星爆発の観測には成功しています。

 

そして、1987年2月23日に小柴昌俊博士が率いるカミオカンデによって初めて超新星爆発からの「ニュートリノ」の観測に成功します。この時の超新星爆発までの距離はおよそ16万光年です。1006年のものより遠く、私たちの住む天の川銀河のお隣にある銀河での出来事ですが、それでも肉眼で観測することができました。

 

さて、天の川銀河ではおよそ数十年に1度の頻度で超新星爆発が起きると予想されています。1987年の超新星爆発以来、32年間地球の近傍では爆発が起きていません。

 

そろそろ起きても良い時期かもしれません。観測技術が進んだ今なら、スーパーカミオカンデをはじめとして世界中の様々な天文観測施設でその様子を記録することも期待できます。

 

“40年後さん”の時代では、近くで超新星爆発は起きていますか?

 

質問2

ベテルギウスという星で、間も無く超新星爆発が起こると聞いたことがあるのですが、その時もニュートリノや重力波を放出するのでしょうか?

(ペンネーム 高輪ゲートウェイ博士)

 

回答

もう一つ、超新星爆発に関する質問が来ています。

ベテルギウスはオリオン座(ギリシャ神話に出てくる狩人オリオン)の肩に赤く輝く一等星。この星が近いうちに爆発するという話は聞いたことがある方も多いかもしれません。

超新星爆発が起こるとニュートリノや電磁波と共に時空の波である「重力波」も放出すると考えられています。ニュートリノや重力波は星の中心部分の情報を運んできてくれるので、観測に成功すれば超新星爆発のメカニズムの解明が大きく進むことが期待されます。アメリカの重力波検出器LIGO(ライゴ)などによってこれまでに観測に成功している重力波は「ブラックホール」や「中性子星」といった重たい星同士の合体により生じたものです。一方、超新星爆発によって生じた重力波は未だ誰も観測に成功していません。

 

そこで、この超新星爆発からの重力波を神岡の実験施設である「KAGRA(カグラ)」で捉えようというお話が、カミオカラボで6月に行われた研究者トークのテーマでした。

 

地球からベテルギウスまでの距離は642光年です。一方、稼動後のKAGRAで観測できる超新星爆発の範囲は地球から3000光年ほど(*1)だそうです。つまり、ベテルギウスが爆発すればそこから到来する重力波をKAGRAで観測できる見込みがあります。

 

期待したいですね!

 

 

 

参考)  *1 The Astrophysical Journal, 811:86(12pp), 2015 October 1 Yokozawa et al.

 


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