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企画展「止利仏師伝説―天生に息づく飛鳥のロマン」を開催

印刷用ページを表示する掲載日:2023年12月19日更新

12月17日(日) 飛騨市文化交流センター

河合町に伝わる「止利仏師(とりぶっし)」伝説を取り上げた企画展「止利仏師伝説―天生に息づく飛鳥のロマン」が、12月17日から24日までの日程で行われており、初日には専門家による講演会などが行われました。

止利仏師は、鞍作止利(くらつくりのとり)などとも呼ばれ、『日本書紀』によると法隆寺金堂の釈迦三尊像など、歴史に残る仏像を作ったとされているそうです。河合町には、この止利仏師の出生にまつわる伝説が古くから伝わっており、昔話や絵本などで後世に伝える取り組みがされています。

今回は、この伝説を市民に広く知ってもらうため、その伝説に関する資料や、飛騨内外の関連史跡などをパネル展示で紹介。今回は、奈良県に残る止利仏師の足跡を追った取材記録なども紹介しています。また、東京藝術大学COI拠点で制作された「法隆寺金堂釈迦三尊像(3D出力したクローン)」も展示。他に漫画『止利仏師ものがたり』の著者である鍛冶明香さんから寄せられたメッセージなども紹介されています。

初日には、名古屋市立大学の小俣英彦准教授による「文化財複製を活用した文化の共有と継承―クローン文化財―」、飛騨・世界生活文化センター学芸アドバイザーの田中彰さんによる「止利仏師と奈良県ゆかりの地を訪ねて」の講演がありました。

小俣准教授は、文化財が人の吐く息でも劣化する場合があって非公開にされていたり、テロによる破壊などから守る必要性もあり、文化財の複製技術の重要性が増している現状を紹介。デジタル技術では、何度でも同じ複製を作れる利点から劣化を気にせず、子どもや目の不自由な人などが直に触って感じることができたり、太陽光や風の強い場所など展示の場所を選ばないなど、人と文化財の新たな可能性も示唆しました。複製のさまざまな手法も説明し、昔は「光」を表現するため金色を用いたのに対し、現在はガラスなど透明な素材で制作して光を投射するなど、コンセプトは守りながらも表現手法を変えることが可能だと指摘。クローン文化財の技術は、複製という範囲にとどまらず、未来へ向けた文化財としての資源を作り出すことができると主張しました。

田中さんは、止利をはじめ飛騨の匠と歴史の流れとの関わりや、どのような意義があったのかについて、年表を用いながら解説しました。また、止利が活躍した足跡が残る奈良県各地を訪れ、約10年にわたって取材した記録などを写真を交えながら紹介。「都会では、止利の出自が飛騨だということを認めたくないのではないか。しかし、止利の出自について他所には伝説がなく、あるのは飛騨だけ。江戸時代の百科事典である『和漢三才図会』には止利の記録があり、飛騨の職人は有名ということもあります。私は『飛騨の止利仏師』とすることに差し障りはないと考えます」と持論を述べました。

他に、テレビアニメシリーズ「まんが日本昔ばなし」で止利仏師の出生を伝える昔話を放送した回『月ガ瀬』を上映するなど、盛りだくさんの内容でした。参加者は講演の終了後、ホワイエの展示を熱心に見て回っていました。

高山市から訪れた室崎匡彦さんは「企画力や熱意が感じられ、これだけの展示をされるのはすごいことだと思いました。自分たちの文化を後世に残し、発展させていく機会になれば」と話していました。

企画展の様子(1)

止利仏師伝説

企画展の様子(2)

止利仏師伝説

講演会の様子(1)

止利仏師伝説

講演会の様子(2)

止利仏師伝説

企画展の様子(3)

止利仏師伝説

企画展の様子(4)

止利仏師伝説

企画展の様子(5)

止利仏師伝説

企画展の様子(6)

止利仏師伝説

企画展の様子(7)

止利仏師伝説

企画展の様子(8)

止利仏師伝説