5月9日(火曜日)宮川小学校
広葉樹材を活用したアサガオ観察用の鉢の製作キットの試作品がこのほど完成し、宮川小学校と古川小学校の1年生児童に贈られることになりました。
市では、市内の森林の約70%を占める広葉樹の有効活用を進めています。近年は広葉樹の流通量が増加傾向にありますが、これにともない、流通・加工の過程で家具には使用できない木材も増えています。こうした端材などはチップとして製紙の原料や燃料として使われていますが、広葉樹材として一層の有効活用ができないかを試行錯誤しているところです。
そこで、市内の家具メーカーである株式会社イバタインテリアの協力を得て、市内で出た広葉樹の端材などを使って、アサガオ栽培・観察用の鉢キットを製作する取り組みを始めました。名古屋市のトキワランバテック株式会社が地域のヒノキ材を活用するために進めている「アサガオプロジェクト」の一環で製作した木製の鉢キットを参考にしながら開発にあたりました。木製であるため、不用になった場合は市が回収し、市内の木材乾燥施設の燃料として活用するなど、資源の再循環にも配慮しているそうです。
今回は、広葉樹材を短期間で乾燥させる取り組みで出た飛騨産のコナラ材や、宮川町産のウダイカンバ材の余りを有効活用しました。釘や接着剤を使わない組木の技術を応用して設計し、部材を製作。試作したキットを、モデル校である両校の1年生児童へ配布することになりました。
この日は、開発にあたったイバタインテリアの井端大介社長と、飛騨市広葉樹活用コンシェルジュの及川幹さん、市職員が宮川小学校を訪問しました。最初に、土砂災害を防止したりさまざまな資源を提供するなど森林の持つ機能や、飛騨市の森林の特徴などを紹介する講義があった後、4~6年生児童3人が1年生のために組み立て作業を行いました。井端社長が組み立て方や作業のコツをていねいにアドバイス。児童らも楽しみながら作業を行い、およそ25センチ四方の鉢に高さ1メートル弱の支柱を取り付けた鉢が完成しました。児童らは出来上がった鉢を手に満足気な様子でした。
6年生の丸山治馬さんは「たくさんパーツがあって大変そうだと思ったけど、教えてもらったら簡単に作れて楽しかったです。結構重いけど、上手にできました。1年生には、支柱を折らないように大事に使ってほしい」と話していました。井端さんは「普段は大径木で家具などを作っていますが、今回は広葉樹材ということで小径木だったり曲がっていたりしたので、部材の取り方が難しかったです。使おうと思えば、どれだけでも使える鉢なので、子どもたちには長く使ってほしいですね。最初はアサガオですが、次に何を植えるかも楽しみです」と目を細めていました。
5月23日には、もう1つのモデル校である古川小学校の1年生児童約60人にも配布される予定です。