11月18日(土) 古川町公民館
富山大学との連携による市の薬草事業の一環で開催している「市民健康講座~和漢薬と健康~」の第4回目の講座が、古川町公民館で行われました。
今年度は、富山大学和漢医薬学総合研究所の専門家を招いて「和漢薬と健康」をテーマにした講座を全5回にわたって開催しています。今回は「和漢薬に含まれる化学成分」の演題で、同研究所薬用資源管理部門の當銘一文准教授が、和漢薬に含まれる化学成分についての基礎、生薬をめぐる現状や最近の研究事例などを解説しました。
當銘准教授は、生薬と薬用植物と漢方薬はそれぞれ区別されるものと指摘。葛根湯を例にとり、生薬は「葛根(かっこん)」、薬用植物は「葛(くず)」、漢方薬は「葛根湯」だと強調しました。また、「漢薬」とは中国産の生薬をさし、漢薬がなかなか手に入らなかった時代にその替わりとなるものを日本で開発・使用してきたものを「和薬」と呼ぶと解説。両方を合わせて「和漢薬」と称していると説明しました。これらの和漢薬の有効性と安全性が国の基準を満たしていると品質を保証するため、成分分析は大事だと話しました。
西洋医療と漢方医療では、それぞれ考え方や診断、使う薬の性質、治療法などに違いがあることや、代表的な生薬の特徴や効能なども紹介。産地の違う「桂皮(けいひ)」の匂いを嗅ぎ比べたりしました。
漢方薬の需要が伸びていることなど近年の状況も説明しました。日本では、生薬の8割から9割を中国から買っていましたが、中国でも需要が増えたり天然の生薬が枯渇しつつあってなかなか買えなくなっていること、国の後押しで日本国内での栽培が進められている現状などを紹介。海外での資源調査の成果や、抗がん剤の副作用である末梢神経障害に漢方薬を用いる研究なども分かりやすく説明しました。
この日は市民の他、愛知県や関市などからも参加があり、約25人が聴講しました。受講した高山市の寺田幸一さんは「和漢薬については全く知らないような感じでしたが、講座を聞いて多少なりとも知ることができ、さらに興味が湧きました。これからも機会があれば、講座などに出席して話を聞き、自分の生活や健康に役立てていきたいです」と感想を話していました。