6月15日(土) 市役所
富山大学と飛騨市が連携して行う市民健康講座「和漢医薬学総合研究所の紹介と和漢薬体験」が、飛騨市役所で開催されました。
国内唯一の伝統医薬学の研究所である富山大学和漢医薬学総合研究所の専門家を招いて、和漢薬に関する最先端の研究やその成果などについて全5回で学ぶもの。昨年度に初めて行われ、好評だったため、今年度も引き続き開催することになりました。
今年度第1回目となる講座では、同研究所長の早川芳弘教授を招き、和漢薬の基礎や同研究所の概要、そこで行われている研究内容や成果などについて分かりやすく学びました。早川教授は、和漢薬をベースにした認知症の予防・治療、がん治療や生活習慣病治療への応用、未病分野など幅広く挑戦している現状などを紹介。天然由来のものであっても毒性や副作用はあること、同じ漢方薬を飲んでも効く人と効かない人がおり、その違いは科学的にはまだ解明されていないことなども説明しました。
座学の後は「和漢薬(煎じ薬)作り体験」があり、葛根湯を煎じて試飲するワークショップが行われました。参加者は、早川教授の他、富山大学の学生3人からアドバイスを受けながら葛根湯作りに挑戦。用意された葛根、芍薬、甘草、生姜、麻黄、大棗、桂皮の7種類の生薬を決められた分量ずつ取り分け、不織布のパックに詰めて煎じ器に入れ、600mlの水を加えて40分ほど煎じました。
煎じている間、早川教授は葛根湯に使われている生薬それぞれの薬用部位や効能などの特徴を1つひとつ丁寧に説明。「葛根湯に似た和漢薬に桂枝湯というのがあり、これには葛根と麻黄が入っていません。これによって、元気のある人には葛根湯を、元気のない人には桂枝湯を処方するなどの違いがあります」などと紹介しました。葛根湯が出来上がると、参加者は「すごく良い匂いがする」などと談笑しながら試飲したり、生薬を直接かんで味わったりしていました。
初めて参加したという河合町の池田代志美さんは「生薬などは普段あまりなじみがないですが、話を聞いて身近に感じられました。作った葛根湯は、普段飲んでいるものと味が違って美味しく、印象に残りました」などと感想を話しました。