7月6日(日曜日)カミオカラボ
カミオカラボでは毎年来館者に向けて研究者トークを開催しており、今回は東京大学宇宙線研究所の吉田将特任研究員が「暗黒物質の探し方」というテーマで講演されました。
まず、暗黒物質とは宇宙全体の重さ(エネルギー密度)の約4分の1を占めるとされ、さまざまな観測からその存在が示唆されているものの、正体はまだ不明であると説明されました。
暗黒物質の探し方としては、周辺の暗黒物質が検出器にぶつかるのを待つという方法を使った「XENONnT実験」が紹介されました。この実験はイタリア・グランサッソ山で行われており、日本を含む12カ国、200人以上の研究者で構成される国際共同研究とのこと。
さらに、XENONnTで暗黒物質をどのように検出するかについても説明がありました。暗黒物質の信号にそっくりな中性子と区別するため、スーパーカミオカンデの技術を応用した小型検出器で囲んでいるほか、神岡で開発された技術を日本のグループが持ち込んで応用していることも紹介されました。
今後の研究について吉田特任研究員は「今後数年間は観測を継続し、近い将来には似た方式の実験と合流してより大型の検出器で観測を行う計画が進められている」と話しました。
参加者からは「宇宙に関心があり参加しましたが、質問にも的確に答えていただけてうれしかったです。世界をリードする研究者がいることを知り、このような講座を開催していただけるのはありがたいです」といった声も聞かれました。