8月24日(日曜日) 飛騨市文化交流センター
生涯学習の場である「飛騨市民カレッジ」の特別講座として、各種メディアへの出演や著書などで知られる脳科学者の中野信子さんの講演会「脳科学から考える私たちの未来~教育・AI・環境~」が開催されました。
特別講座は、普段はなかなか会うことのできない著名人などを招いて行う講座。都竹市長は「脳科学という世界はとても興味深い分野で、知的好奇心を満たすのにこれほど格好の分野はないのでは」などとあいさつしました。
中野さんは、2週間に1回のペースで自らを書き換えていくほど劇的な進化を遂げている「生成AI」の現状にふれ、「学習も更新も人間とは比較にならないほど早い」と説明。創造性や情といった分野での進化が著しく、当初の予測とは異なり、知的労働や創造的な仕事から先に奪われていくのではとの考えを述べました。
3万年前と比べると人間の脳が10%ほど小さくなっているとも紹介しました。脳は、体全体が使うカロリーの約5分の1、酸素の約4分の1を消費するほどエネルギーを使うため、人間の体には常に「脳を小さくしたい」という圧がかかっていると強調。使わなくていいと脳は小さくなるため、「生成AI」の誕生でそれがますます加速するのではとの議論があると説明しました。頭の良し悪しとは関係ないと前置きしつつ、昭和世代と比べても令和世代の脳の大きさは小さくなっており、頭蓋骨が小さく第二小臼歯が生えない人が出てくるなど、人間の体にも急激な変化が起きていると話しました。
また「不安は、人間の生存戦略の1つ」としながら、「ネガティブな感情にも意味があります。今生きているというだけで勝利者」とも強調し、参加者にエールを送りました。
この日は約650人が参加し、幅広い分野にわたる講演に熱心に耳を傾けました。神岡町の山本克宏さんは「中野さんのファンで参加しました。脳に関する講演というのはなかなか聞けないので、今日は話を聞けて良かったです」と話していました。