9月3日(水曜日)市役所
認知症月間に合わせ、飛騨市では認知症への理解を深めることで、高齢者を中心に市民サービス向上に努めようと「職員研修・VR認知症体験会」を実施しました。
超高齢社会といわれる飛騨市では、介護者不足のため在宅高齢者が目立ちますが、それに伴い、医療や福祉部門以外の職員も今後、認知症の方々と接する機会が増えると思われます。そこで、市は認知症が体感できるバーチャルリアリティ(VR)の専用機器を使い「認知症の世界」を職員にも体験してもらうことにしました。
受講者は最初に「徘徊(はいかい)する」「家族を認識できない」といった認知症のイメージをワークシートに記載。この後、地域包括支援センターの社会福祉士・井谷直裕さんの指導で「視空間失認」という自分とモノの距離感がつかめない症状や「幻視」といった中核症状を、VRを通して体験。「どんな気持ちになりましたか」「あなたならどう接してほしいですか」といった問いかけに対する気持ちを共有しました。
受講者は「あちこちから声が聞こえますが、私の話もしっかり聴いてほしいと思いました」などと感想を述べ、幻視が見えるレビー小体型認知症では「電気コードがヘビに見えたりしましたが、知らない人が同じ部屋に立っていた時は驚きました。幻視は触れると消えるそうですが、恐くてさわれません」などと話していました。
井谷さんは「認知症の5人に1人はレビー小体型認知症になると言われます。認知症の方と接する時は相手に敬意をはらい、知的好奇心を持って『何が見えますか?』などと声を掛けてあげてください。頭から否定しないで、安心感を与えることを心掛けてほしい。レビー小体系の場合は幻視と共存し、一緒に楽しんであげて」と話し、認知症の人との接し方に関して「驚かせない」「急がせない」「心を傷つけない」という3つの「ない」を教えました。
受講者からは「認知症の方は不安や焦りを抱えていることが多いので、しっかり耳を傾け、救いの手を差し伸べるように声を掛けたいと思いました。若くして認知症になる若年性認知症にも気をつけたい」と話していました。