6月5日(金曜日) 神岡中学校
神岡中学校1年生の43名を対象とした岐阜県博物館の高津翔平学芸員による化石の出前講座が開催されました。
高津学芸員は、2024年7月に神岡町で発見された約1億2700万年前のワニ形類化石の発掘に携わっており、その発掘秘話や化石研究の魅力を「生の声」で伝えてもらうため、地域・学校・研究機関の連携により企画された取組みです。
講座ではまず、ワニ形類化石が発見された福井県、石川県、富山県、岐阜県などに広く分布する手取層群(てとりそうぐん)が、中生代中期ジュラ紀~前期白亜紀(1億6700万年~1億1000万年前)に堆積した地層群で、多くの恐竜や動植物の化石が見つかっていることが紹介されました。岐阜県の恐竜化石が初めて発見されたのは1987年とのことです。
飛騨地域では、1989年に白川村で恐竜の足跡化石が見つかったのをきっかけに、「岐阜県恐竜化石学術調査団」が発足し、白川村や高山市、飛騨市で調査が進められました。神岡町では1999年に鳥脚類の恐竜の足跡化石が発見されており、これが神岡町唯一の恐竜化石です。その後の調査で恐竜などの脊椎動物の骨化石は見つかっておらず、実質的な調査団の活動は2000年をもって終了しました。
しかし2024年に、飛騨市で骨や骨片化石を大量に含むボーンベッドが発見されました。現在までの調査では、この地層からは脊椎動物としては魚類やカメ類の化石が多く見つかっていますが、約1センチのワニ形類の歯の化石の発見が大きな成果とのことです。
これまで手取層群で見つかったワニ形類の最古の化石は福井県勝山市で発見された約1億2000万年前のものでした。神岡町で見つかった化石はそれより約700万年前に遡り、手取層群最古のワニ形類化石となりました。また、同じ地層から見つかる植物の化石などから前期白亜紀の平均気温は約10℃前後と推定されており、これまでワニ形類には適さない環境と考えられていましたが、寒冷な環境への適応や進出の可能性も示唆されました。今後、ボーンベッドから恐竜類などの大型脊椎動物化石が見つかることも期待されています。
講座では隕石や恐竜の卵のレプリカ、ワニの骨標本なども観察しながら、高津学芸員の話に生徒たちは驚きつつ熱心に耳を傾けていました。生徒からは「神岡で見つかった古代の魚は」「恐竜の卵の形は」「化石の一部でどうして形まで分かるのか」などの質問が飛び交い、高津学芸員が一つひとつ丁寧に答えていました。
講座を受けた西村駿太朗さんは「地学や地質に詳しい田中博先生のガイドで神岡を散策する「ブラタナカ」という学習で化石について知りましたが、見つかった化石が約1億2700万年前というのには驚きました。これからの調査で有名な恐竜の化石が見つかることを楽しみにしています」と新たな発見への期待を話してくれました。
なお、今秋には化石フォーラムが予定されており、その周知や当日の運営にも神岡中学校の生徒が探Q学習で協力する予定です。