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プロフェッショナルな除雪車オペレーター(市民生活を支えるプロ特集)

印刷用ページを表示する掲載日:2025年7月8日更新

冬道の安全はこうして守られる。 プロフェッショナルな除雪車オペレーター

明日の予報は雪マーク。予定通り出掛けられるか、不安な思いを抱えて眠りについた翌朝、車で家を出ると思いのほか走りやすくてひと安心。私たちが眠っている間、雪と共に不安を取り除いてくれている人たちがいます。「市民生活を支える職業や一流の技術を有する市民ら」に光を当てる特集の第5弾には、坂本土木株式会社で除雪車のオペレーターを務める田谷修(写真右)さん、池本知規(写真左)さんが登場。自然を相手にする仕事の大変さや難しさ、その中にある楽しさについて伺いました。

1週間泊まり込みで大雪を退治

──お仕事内容と1日の流れをお聞かせください。

田谷さん:主な仕事は凍結防止剤の散布と除雪です。数河と茂住エリアの国道を2人1組×5班、計10人で担当しています。平常時は2班で仕事を回し、3班は緊急時に備えて待機する体制です。そのほか、雪が多い日には応援部隊も駆け付けます。散布を行うのは、夕方4時、夜10時、翌朝4時の3回です。その合間に雪が降ったら、除雪を行います。

──いつ休憩をとっているのでしょう?

田谷さん:雪が降らなければ、散布と散布の合間に休憩をとります。散布にかかる時間は2時間程度なので、夕方4時に開始して6時に終了、次に散布を始める夜10時までの約3時間半は休憩時間です。その間に食事や入浴を済ませます。2日間の当番を終えたら朝の8時から24時間は休みですが、雪が降ったら全員出動なので、どうしてもスケジュールが変則的になりがちですね。

──大雪が降った際には、終日お仕事されることもあるのですか?

田谷さん:はい。除雪したそばから雪が降り積もるので、車が道路を走れる状態を保つために稼働し続けます。交代要員が現場に入ったタイミングで仮眠をとり、また出動……の繰り返しです。

池本さん:1週間ほど大雪が降り続いて、除雪センターに泊まり込んだこともありましたね。

田谷さん:大雪が続くと、最後に「拡幅除雪」といって道を広くする作業があります。大雪が降っている最中は最低限の除雪を行い、止んだ後に道路脇の雪を処理するんです。そうこうしているうちに次の雪が降り、家に帰るタイミングを逃してしまうこともあります。

走りやすさの理由は圧雪を削ぐ技術

──自然にスケジュールを左右される、大変なお仕事ですね。自己管理力・体力に加え、経験に裏付けられた高い技術が求められるイメージですが、お2人の経験年数は何年ですか?

田谷さん:私が12〜13 年、池本が5〜6年です。

──特に経験に左右される技術は何でしょう?

田谷さん:上から踏み固められた圧雪を一度の走行できれいに取り除けるかは、経験やセンスが問われます。

池本さん:車がより安全に走れる環境を整えるには、圧雪を可能な限り薄く削ることが大切です。十分に取り除けるまで何度もUターンして同じ場所を走るので、経験が浅いうちは時間がかかる傾向にあります。経験者は時速40キロで除雪を行いますが、私が新人の頃は大きな車両を扱うこと自体に慣れず、恐る恐る運転するので今の倍の時間がかかっていました。

玄人技術でガードレール際を攻める!

──池本さんから見て、経験年数が倍の田谷さんのすごさはどこにありますか?

池本さん:ガードレール際の雪をはねのける技術が高く、尊敬しています。ガードレールに触れるか触れないかすれすれの所をスーッと走っていくんです。

──そうした技術はどのように習得するのですか?

田谷さん:最初はベテランの方に助手席に乗ってもらい、アドバイスを受けながら少しずつガードレールとの距離感をつかんでいきます。

4つの目で死角対策!安全確認を徹底

──先輩が助手なら新人さんも安心ですね。

田谷さん:はい。一方で、新人教育以上に、助手の最も重大な役割は安全を確保することです。人が歩いていないか、物が落ちていないか、細心の注意を払います。

──特に注意が必要な場所はどこですか?

田谷さん:古川町袈裟丸地区は国道沿いに民家があり、早朝から雪かきをしている人も多くいます。万が一にでも人に接触したり、民家に雪を飛ばしたりしないよう、その区間では最徐行を徹底しています。

後に残らない仕事。でも楽しい

──最後に、仕事への思いを教えてください。

池本さん:春になれば雪は溶けます。土木工事や建設工事などと異なり、後には残らない仕事です。それでも、物流のライフラインである国道を止めてはいけないという思いで仕事をしています。何より、楽しい。誰にも踏み抜かれていない、まっさらな雪をかき分けていくのは爽快感があります。春から秋は土日休みで生活は安定しますが、私は冬季の仕事が好きです。 

あとがき

さまざまなスキルが必要とされる除雪の仕事。その難しさを背景に、オペレーターの後継者不足が問題視されています。坂本土木株式会社では、除雪出発式や機械展示会に地元の保育園児を招いたり、中学生向けに職場体験会、高校生向けには現場見学会を開いたりと、この仕事への理解を深める活動を行っています。 予報で雪マークが付いても、今日と変わらない明日を迎えられるのは昼夜問わず働くプロフェッショナルがいてのこと。 そんな陰のヒーローに目を向けてくださる方が増えたら嬉しいです。

市民ライター 三代知香

冬道の安全はこうして守られる。 プロフェッショナルな除雪車オペレーター

冬道の安全はこうして守られる。 プロフェッショナルな除雪車オペレーター