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プロフェッショナルな「地元愛」仲介役(市民生活を支えるプロ特集)

印刷用ページを表示する掲載日:2026年5月15日更新

まちの熱伝導を、ここから。プロフェッショナルな「地元愛」仲介役

地元の祭りに足を運べば、どこかで見覚えのある法被姿。今回取り上げるのは、祭り好きにはおなじみ、一般社団法人飛騨市観光協会(以下、観光協会)の栗谷知弘さん(写真左)と瀬之上あすみさん(写真右)です。「観光」と聞くと、まちの魅力を外へ向けて発信する仕事を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、その実態は、よくあるイメージとは180度異なっていました。

観光誘致ありきではない、観光のかたち

──4月上旬に神岡町で行われた夜桜夜市でも、観光協会の法被姿をお見かけしました。イベント運営がお仕事の中心ですか?

栗谷さん:はい。もちろん、地元の事業者と連携して物産展へ参加するなど、地域外へのPR活動も行っています。ただし、観光客を「呼び込む」という発想ではありません。地域の人と共にまちを盛り上げ、熱が生まれ、その熱に惹かれて地域外から人が訪れる——そんな観光のあり方を描いています。

──その一環として、イベント運営に注力されているのですね。どのような役割を担っていますか?

瀬之上さん:観光協会が主催する場合と、裏方として関わる場合とで役割は異なりますが、共通しているのは、地域の人と人とをつなぐ「ハブ(仲介役)」としての役割です。主催した夜桜夜市では、地域ボランティアである協会員のつながりを介しながら、着物レンタルやお茶会といった企画を形にしていきました。これは、人のつながりと地元の方々の強い想いがあってこそ成り立っています。

──4月下旬の古川祭では、主催のイベントと比べてどのような動きが求められますか?

栗谷さん:古川祭では黒子に徹し、祭りが滞りなく行われるよう動きます。具体的には、当日の交通整理に向けた警備員の手配や、警察・消防署との連携、仮設トイレの手配など幅広く対応します。 古川祭という枠組みは同じでも、求められる対応は毎年異なります。開催曜日に応じて来場者数を見込み、毎年4月頭に決まる、起し太鼓や祭り屋台の進行順路に合わせて動線や警備体制を組み立てます。さらに気候も年ごとに変わり、例えば昨年は日中の暑さで熱中症への対応が求められました。こうした変化に応じて、柔軟かつ迅速に動くことが欠かせません。

まちの「熱」を受け止め、未来へつなぐ

──お祭りが近付くと、観光協会には関係各所からの問い合わせが殺到すると聞きます。

栗谷さん:主催者は気多若宮神社ですが、私たちが裏方の進行役を担っている面もあり、幅広い問い合わせの窓口となっています。順路確定に伴うチラシの配布時期など、祭りに直接関わる内容に加え「柳の枝が伸びている」「鯉の住まいの水が少ない」といった、まちの景観に関する問い合わせも寄せられます。

瀬之上さん:地域性もあってか、祭りが近付くと「たぎる」市民の方も多くて。そうした熱を受け止め、適切につないでいくことも大切な役割です。「とりあえず観光協会に言えば何とかなる」と思われる存在であり続けたいですね。

──まさに、熱伝導の中心にいらっしゃるのですね。火を起こすというより、火をつなぎ、絶やさない役割を担っているのだと感じます。

栗谷さん:少子高齢化が進み、祭りの担い手が減っているいま「火を絶やしちゃいかんな」という想いは強く抱いています。例年9月に飛騨古川まつり広場で行われていた盆踊りも、約20年続いたのち、担い手不足で2024年に一度幕を閉じました。ただ、その流れのなかにも存続を願う声は残っていて。そこで、別団体が企画していたイベントと集約し、さまざまな想いをつなぎながら、2025年に復活させています。

栗谷さん:そのなかで、地域活動の一環として地元の中学生も一役買ってくれました。自分たちが暮らす地域を形づくる文化に触れる機会は、地元への誇りや愛着を育てることにつながると感じています。

瀬之上さん:私たちにとって、まちづくりとは人づくりです。子どもが地元のために頑張る姿を見て、大人たちも「おれらも頑張らんとな」と触発され、活気が広がる好循環が生まれている。その実感が確かにあります。

「内」から広がる暮らしと観光の循環

──観光協会の役割として、想像以上に「内」への働きかけが大きいのだと感じました。

瀬之上さん:実は、観光協会のインスタグラム(※)を見てくださって いる方の多くは、飛騨市内の方なんです。その企画の一つである「おやじランチ」は、地元の飲食店を巡って紹介する内容で、地元の方からも好評なんですよ。意外と知られていない名店も多く、「(おやじランチを見て)行ってきたわ」と声かけいただくことも増えてきました。 ※写真や動画をインターネットで共有できるサービス

栗谷さん:地元ではまだ知られていない魅力は数多くあり、物産展などで地域外の方と触れ合うことで、新たに見えてくる価値もあります。そうした価値を地域に浸透させていくこともまた私たちの役割です。 最も大切なのは、誰よりも地元の方に地元を好きになってもらい、地域での暮らしを楽しんでもらうこと。その先に、観光の広がりがあると信じています。

あとがき

観光協会が描く飛騨市の「観光」とは、あくまで暮らしや日常の延長の「結果」でした。 祭りという非日常を中心にまちの暮らしを支えながら、そこに溶け合うかたちで観光と融合させていく。そこには、まさに「飛騨市らしい」観光協会の姿がありました。

市民ライター 三代知香

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