11月16日(土曜日) 古川町公民館
薬草を活用したまちづくりや市民の健康増進への取り組みの一環として、昨年度に続き富山大学和漢医薬学総合研究所と連携して全5回で開催している市民向け健康講座の第4回目が開かれ、市内外から約40人が参加しました。
この日は、同大学学術研究部医学系和漢診療学講座の貝沼茂三郎教授が、東洋医学の基本的な考え方や、実際の臨床現場でどのように漢方薬が役立っているか、女性の病気やがんに対する漢方治療の事例などを紹介しました。
貝沼教授は、服用の仕方などによっては、漢方薬にも思っている以上に即効性があると指摘しました。風邪をひいた際によく飲まれる葛根湯を例にあげ、「体をあたためるため、水でなく必ずお湯に溶いて飲む」「発熱している初期は、およそ3時間おきを目安に、汗が出るようになるまで時間を詰めて飲む」「風邪をひくと食欲が落ちるのは、消化にエネルギーを使わないようにしてウイルスを排除しようとする体の正常な反応。消化の良いものを食べて体をあたためることが大事」などとアドバイス。「これらを実践するだけで、解熱剤を飲むだけと比べ、葛根湯の効果をもっと実感できるのでは」と強調しました。
また、西洋医学は病気の原因を探って特定の標的にしぼった治療を行うのに対し、東洋医学は心を含む全身のバランスを整えて人それぞれが持つ自然治癒力を高めるなど、考え方や治療方法の違いなどを説明。「陰と陽」「気・血・水」といった漢方の基本的な考えにもふれながら、具体的な事例をあげ、漢方治療や代表的な漢方薬について分かりやすく紹介しました。
「冷え性」も3つのタイプに大別され、それぞれの症状や見分け方、用いる漢方薬の特徴なども説明。また、がん治療で漢方薬が果たしている役割や、これまで携わった症例なども紹介しながら、「いったん治療が成功しても、生活のバランスが崩れていると再発してしまう。仕事や家庭での過労やストレス、食生活の乱れなどを見直して、心身のバランスが崩れないような暮らしを心がけて」と呼びかけました。
今年度、初回から講座を受講しているという古川町の山中千佳さんは「体に負担のない漢方や東洋医学などに興味を持ち、たまたま良い講座があったので参加するようになりました。人それぞれの体質や『気・血・水』の話は、自分に照らし合わせて勉強になっています。こちらに移住して、薬草や漢方がとても身近にあるので、勉強したいと思うようになりました。次回も参加したいです」と感想を話していました。