10月9日(木曜日) 飛騨市家畜診療所
飛騨市では優秀な雌牛の受精卵を冷凍保存し、安定した品質の高い飛騨牛の出荷につなげるため、合併当初より飛騨農協吉城営農センター内の飛騨市家畜診療所に受精卵処理室を設置していましたが、獣医師不足となり家畜診療にも影響を及ぼすことから2015年より受精卵処理室を休止している状態が続いていました。しかし、積極的な採用活動の取組みなどにより十分な人数を確保できたことから、この度、受精卵処理室を運営再開することとなりました。
受精卵処理室では、農家の優秀な雌牛から採取してきた受精卵を実体顕微鏡で保存するものとしないものにより分け、保存する受精卵を1時間半かけてマイナス32度まで下げ冷凍します。この冷凍保存される受精卵は半永久的に使用可能。肉牛以外にも交雑種(肉牛×乳牛など)や乳牛にも移植可能で品質の高い飛騨牛が生まれることから、市内の肉牛に限らず乳牛の農家にもメリットがあるとのことです。
全国的にも産業動物の獣医師は不足しており、問題視されています。国内の獣医系大学は17校あり、毎年およそ1,000名の卒業生がいますが、その多くが小動物臨床(動物病院など)に就職しており、市町村で働く獣医師はわずか4%程度とされています。飛騨市でも全国、県、他自治体と同様に獣医師の募集をかけるものの応募がない状態が続いていましたが、2019年度より開始したインターンシップなど積極的に採用活動してきた取組みが実り、2023年度と2025年度に一人ずつの新規採用にいたりました。
受精卵処理室は獣医師の人数を確保でき、市内農家からの要望があったことで運営再開となりました。9月中には必要な機器の導入などが完了し、10月から農家からの依頼に対応しています。
今回の運営再開について飛騨市家畜診療所 古川尚孝管理者は「人数や設備が揃ったことで体制が整った。農家さんには安心してもらい、いい牛をたくさん残せるようにしたい」と思いを話されました。