7月22日(土曜日) 宮川町種蔵地区
石積みの棚田と昔ながらの板倉が点在する宮川町種蔵地区で、「飛騨種蔵棚田そばオーナー」の皆さんによるソバの種まきや肥料まき、草取りなどが行われました。
同地区では、過疎化により集落機能の維持や景観保全などが難しくなっており、これまでに同地区のファンでつくる「飛騨市ふるさと種蔵村」の「村民」の皆さんや「ヒダスケ!」の皆さん、市民などボランティアの皆さんの力を借り、集落の草刈りや石積みの修繕、ミョウガ畑の復活などに取り組んできました。
ソバの栽培も景観保全を始め、農地の荒廃の防止、同町の特産品である「万波そば」の振興を図る目的もあって、地区内外の皆さんの力で盛り上げてきましたが、採算性が低いこともあり、これまでは国の補助を受けて継続してきました。しかし、国の制度変更によって4年後には補助が受けられない見通しとなったため、自立の道を探ろうとオーナー制度を立ち上げたそうです。
オーナー制度の対象は「ふるさと種蔵村」村長でもある同地区の荒谷勇さんが借りている休耕畑のうち、約1,500平方メートル。オーナーの皆さんには自分たちで栽培したソバの実を粉にして、自分の手で打った蕎麦を味わってもらうことで、農地を守ることの大切さを感じていただき、農地や景観の保全につなげていこうという試みです。年内に全4回の活動があり、今後はソバの花見を兼ねた散策会や手刈りでの収穫体験、蕎麦打ち体験などを予定しています。
この日は、オーナーやその家族など13人が訪れ、ソバの特徴や同町特産の「万波そば」などについて学習した後、荒谷さんから現地で指導を受けて作業に入りました。快晴の夏空の下、参加者は用意されたソバの種と肥料を蒔いたり、棚田の石積みの草取りを行うなど作業に汗を流しました。
父、息子と3世代で参加したという高山市の稲越沙織さんは「ソバがどんな土で育つかも、万波そばのことも知りませんでしたが、ソバを種から育てることやソバ打ちに興味があって、フェイスブックで知って参加しました。すごく勉強になって、種まきも楽しいし、今後の3回も楽しみ。景色も良かったです」と笑顔で話していました。
荒谷さんは「種蔵の景観保全に向けて試行錯誤している取り組みの一つです。種蔵だけでも1町歩以上でソバを栽培しており、あと4年でどうなるかというところですが、ボランティアの皆さんにやっていただけると棚田が残っていくかなと思います。今回の面積だけでもやっていただけるとありがたい」と話していました。