8月12日(土曜日) 味処古川
二ホンミツバチの飼育管理の専門家を招いた講習会が、古川町の味処古川で行われました。
市内では「吉城日本ミツバチの会」の皆さん約20人が、絶滅の恐れがある日本古来の在来種「二ホンミツバチ」の研究や飼育、保護や適切な繁殖、認知度の向上などに取り組みながら、良質な蜂蜜を提供する活動などを行っています。近年は二ホンミツバチの人気が向上してきており、その生態や奥深さについてさらに学びを深めようと講習会を企画されました。
今回は「中部日本ミツバチの会」副会長の望月建彦さんを招き、二ホンミツバチの生態、正しい飼育や管理の方法などについて話を聞きました。
望月さんは、二ホンミツバチとセイヨウミツバチの違いを説明しつつ、飼い方によってはセイヨウミツバチも優しいハチになったり、二ホンミツバチも西洋式の箱で買うと性格が荒くなったりすることがある、などと生態を紹介。ハチのペースに合わせて巣箱を清掃したり採蜜をすること、明るい所から暗い所へ、低い所から高い所へ移動するといったハチの性質に応じた分蜂の箱入れを行うことで、ハチを怒らせない飼育が重要だと指摘しました。
また、ミツバチの巣を食べる蛾の幼虫「スムシ」は、蜂蜜の味を極端に悪くするため、大繁殖してしまう前の対策が不可欠だと強調。ミツバチの体内に寄生してその生態に悪影響を及ぼすアカリンダニ対策についても詳しく説明し、自身の体験も交えながら、効果的な薬剤の使い方などを紹介しました。他に、ミツバチに刺された時の毒針の抜き方など適切な対処法も細かく説明。ミツバチは、よほど機嫌が悪い時でないと刺すことはないとしながらも、刺されるごとにアレルギー症状が悪化していく可能性が高いため、「アナフィラキシーの可能性が高い人が刺された時は、すぐに救急車で病院へ行って」とアドバイスしました。
この日は、会員や市内外のミツバチに関心のある人など約20人が参加しました。参加者は、積雪が多かったり気温が氷点下になるような土地での冬場の適切な飼育方法、二ホンミツバチの蜂蜜が美味しいと言われる理由、ハチが時々大量死している原因など、それぞれが日ごろ疑問に思っていることを熱心に質問。望月さんは、研究者による報告や、自身や仲間内で試行錯誤した実践なども交えながら、ていねいに回答していました。
「吉城日本ミツバチの会」の岡田廣志会長は「二ホンミツバチを守り、後世に引き継いでいこうと活動しています。当初は5%ほどしか越冬できませんでしたが、昨シーズンは8割が越冬するなど成果が出ています。勉強して飼育技術の向上に努め、ハチを絶やさず増やしていきたい」と意欲を話しました。