10月10日(火)市役所
民間企業や農業者などが連携して開発を進めてきたノブドウのリキュール酒「百寿のしずく」がこのほど完成し、その開発に至った経緯や取り組みの内容、商品の紹介なども兼ねた報道陣向けの試飲会が市役所で行われました。
ノブドウは、古くから日本各地に自生しており、含まれる成分の効能が高いといわれ、民間薬をはじめ、さまざまな用途に使われてきたそうです。飛騨市では薬草等有用植物の調査研究や活用法を模索してきており、この一環でノブドウに注目。市内に点在する耕作放棄地を再生し、里山資源である山菜や野草などを活用して新たな価値や商品を生み出そうと発足した飛騨市里山資源活用協議会が中心となり、商品化に向けた取り組みを行ってきました。
協議会のメンバーが、ノブドウの実を市内の野山で採集したり、耕作放棄地で無農薬栽培をして収穫します。大阪市の株式会社ダブルニットが実を買い上げ、委託先である有限会社蒲酒造場が加工し、商品である「百寿のしずく」を製造。株式会社ダブルニットが中心となって販売にあたります。
「百寿のしずく」は、砂糖や添加物を使わず、アルコール度数35度の醸造用アルコールにそのまま1年ほど漬け込んだもの。時間をかけてゆっくりノブドウの成分を抽出し、アルコール度数33度ほどのリキュール酒に仕上がっています。やや癖のある味わいでアルコール度数も高いため、1日10mlを目安に、ハチミツを混ぜたり、ソーダ水やお湯で割って飲むのがおすすめだそうです。
商品のお披露目には、販売者であるダブルニットの若原孝徳社長、製造者である蒲酒造場の蒲敦子社長、協議会の中畑広一会長や農業者、集落支援員といったメンバーなど、計7人が出席しました。ノブドウ酒を愛飲しているという若原社長は、自身の体験も紹介しながら「大手量販店など販路はたくさんありますので、これからどんどんたくさん作って販売していきたいと思います」とあいさつ。都竹市長は「市のさまざまなプレーヤーが一体となってプロジェクトがスタートし、それを多くの皆さんにご愛飲いただくことで健康増進に役立てば」などと話しました。
「百寿のしずく」は500ml入り6,050円(税込)。今はまだ試行錯誤の段階で、原料となるノブドウの収穫量も限られており、今年は1,700本限定生産だったため、小売店での取り扱いはありません。今後、体制を整えて本格的に実や商品の増産に取り組んでいく計画です。なお、10月14日の「飛騨市食と森の祭典」の会場で一般向けの試飲会が行われます。
協議会の中畑会長は「これから3年間で、会員それぞれが2種ずつ商品開発を行っていく予定です。今回の商品を1つのきっかけとして、たくさんある耕作放棄地を活用して新たな商品を生産し、お金になるシステムを確立していきたい」と話していました。