11月11日(土) 宮川町老人福祉センター
宮川町種蔵地区の景観保全や農地の荒廃防止、同町の特産品「万波そば」の振興を図ろうと立ち上げた「飛騨種蔵棚田そばオーナー制度」に参加しているオーナーの皆さんが、宮川町老人福祉センターで、今年自分たちで手刈りで収穫したソバの粉を使ったそば打ち体験を行いました。
同地区では、過疎化により集落機能の維持や景観保全などが難しくなっており、これまでに同地区のファンでつくる「飛騨市ふるさと種蔵村」の「村民」の皆さんや「ヒダスケ!」の皆さん、市民などボランティアの皆さんの力を借り、集落の草刈りや石積みの修繕、ミョウガ畑の復活などに取り組んできました。
ソバの栽培についても、地区内外の皆さんの力で盛り上げてきましたが、採算性が低いこともあり、これまでは国の補助を受けて継続してきました。しかし、国の制度変更によって4年後には補助が受けられない見通しとなったため、自立の道を探ろうとオーナー制度を立ち上げたそうです。自分の手で栽培・収穫した実を使い、自ら打ったそばを味わうことを通じて、多くの人に農地を守ることの大切さを感じてもらい、農地や景観の保全につなげようという試み。「ふるさと種蔵村」村長でもある同地区の荒谷勇さんが借りている休耕畑のうち、約1,500平方メートルがオーナー制度の対象です。
今回は市内の他、富山市や高山市などからオーナーら11人が参加しました。最初に、そば打ちの道具や作業の工程などについて座学を受けた後、「万波そばの会」のメンバー3人の指導を受けながら「二八そば」のそば打ちに挑戦しました。
この日は、オーナー畑で穫れたソバの実を挽いた粉2キロほどを用意。グループごとに分かれて作業を行いました。こね鉢にふるいをかけたそば粉と小麦粉を入れ、少しずつ水を加えながら混ぜ、団子状に。参加者は、メンバーから「耳たぶの硬さがちょうどいいです」「転がすように回すと、団子になっていきます」などとアドバイスを受けながら、慎重に作業に取り組みました。その後、1つに丸めた団子をのし棒で伸ばして生地を作り、畳んでから、そば切り包丁で細長く切って完成させました。
試食もあり、参加者は「いい香りがする」「うどんみたいに太いのがあるぞ」などと談笑しながら、自分たちの手で打ったそばに舌鼓をうちました。
富山市の鈴木尚二さんは「今日は、そばの生地の練り方や切り方など、いろんなコツがあると分かりました。実践的に教えていただいたので分かりやすかったです」「種まきから収穫、そば打ち、食べるまでの流れを体験できて良い取り組みだと思います。飛騨市や種蔵のことをあまり知らない人が周りにまだまだいるので、来年もこの催しがあれば周りの人と一緒に来たいです。いろんな人に来てもらって広めてほしいですね」と笑顔で話しました。
荒谷さんは「今年は獣害がひどかったのですが、オーナー畑は被害が出る前に電気柵を設置して無事でした。皆さんに楽しくやってもらえて良かった」「来年も行政からの支援を継続してもらいながら、この事業を続けていきたいです。オーナーの皆さんにもっと深く関わっていただけるような仕組みになれば」と話していました。