11月20日(月)飛騨みやがわ考古民俗館
人手不足のため年間30日ほどしか開館できていない宮川町塩屋の飛騨みやがわ考古民俗館の活用を推進しようと、11月21日から12月3日までの期間中、試験的にIoT機器を使って無人で営業する試みを行っています。20日には報道関係者向けの現地説明会が行われました。
全国の小規模博物館では、人材不足によって博物館としての基本的な機能や役割を果たせず、それにともなう運営の縮小や予算の削減などによって、さらに適切な運営が滞ってしまうような機能不全が起きてきているそうです。
この人手不足の問題解消をめざすことで、新たな可能性を探ろうと飛騨市の文化振興担当者と情報システム担当者が運営方法について検討。IoT機器を使って遠隔操作を行うことで、開館作業や運営作業などにかかるマンパワーをできるだけ減らし、省力化・効率化をめざす実証実験を始めました。今回は、入館や防犯、基本的なトラブルなどを想定した対策を実施しました。
無人営業時の予約にはLOGOフォームを使い、xIDアプリでのマイナンバーカード予約か、運転免許証の画像を添付する予約で、来館者の本人確認ができるシステムを構築。マイナンバーカード、運転免許証を持っていない人は、無人営業時の入館はできません。
入館時には、玄関に備えられた自動鍵システムに、予約時に伝えられるパスワードを来館者自身が入力して開錠します。何らかの連絡やトラブルがあった際には、担当者がスマートフォンを使って遠隔でドアを自動開閉できるシステムを導入。動画も送信できるインターフォンも備え、こちらもスマートフォンを通じて担当者とやり取りができる仕組みになっています。
館内の電灯は、予約があった日時の30分前に担当者がスマートフォンを使い、遠隔操作で全館を一斉点灯。トイレと階段は来館者自身が点灯します。無人営業の際は、冷暖房設備は使用しないことにしました。
館内には、死角のないよう複数の防犯カメラが設置され、人の動きを感知すると自動で録画されます。さらに担当者はスマートフォンを使い、リアルタイムで動画を閲覧することができ、24時間監視ができるシステムになっています。また、傷病者が出た場合などに緊急で知らせる携帯アラームボタンも用意しています。
閉館後の消灯・掃除・点検などの確認業務や、問い合わせ・アラームへの対応などは最終的に人手を介す必要があるため、来館者があった日には、宮川町の民間事業者「PASS」に対応業務を委託しています。
無人営業日の予約は、利用日の30日前から2日前までで、急な予約はできません。また、木曜・日曜と、有人営業の日には、無人営業用の予約は入れられません。開館時間は9:00~17:00で、16:30までに入館します。予約は市ホームページに掲載しているフォームから行ってください。
今年度は、試験的な実施で課題を洗い出すことから始めるため、まずは最低限必要な機器の設置と体制の構築を行いました。試験運用の実施中は、来館者へのアンケートも依頼し、来年度の取り組みに生かしていきます。
文化振興課の三好清超学芸員は「管理人が不在の状態での来館者対応は、実はセキュリティーや技術上の問題で、非常にハードルが高いですが、博物館で資料にふれたいという関心のある方を1人でも取りこぼしたくないですし、それを妨げるものを無くしていきたい。忌憚のない意見をいただいて取り組みをより高めていき、全国の小規模博物館が抱える課題を解決する手立てを示せたら」と意気込みを語りました。