3月19日(日曜日)古川郷土民芸会館
3月の公民館講座は山国で古くから食べられている栃餅づくりです。今ではほとんど見られませんが、かつて河合町など山あいの集落では豊かな山の水に何日も実を浸してアクを抜き、保存食として作られてきました。
この日は市内の親子連れら5組16人が参加し、河合町の飛騨市白川郷自然案内人・吉眞陽子さんと夫の磯雄さんが講師を務めました。栃餅づくりに先立ち、持ってくるした苗木や葉など栃の木について説明したり、小学3年の国語の教科書に登場する栃の木を題材にした絵本『モチモチの木』を紹介しました。
調理の実体験ではトチクジリという道具を使って蒸した栃の皮むきや、昔ながらの臼と杵で餅つきを体験。栃餅は餅米2升と昨年秋に磯雄さんが河合町で拾い集めた約1キロの実を使いました。餅米はあらかじめ炊き上げ、香ばしい匂いが立ち込める中、「そーれ、よいしょ」と吉眞さんの掛け声に合わせて親子全員でつきました。
黄色を帯びた餅がつき上がると、参加者は黄な粉や小豆をつけてほおばりながら「白い餅と比べると粘りが少ないけど、食べ応えがあっておいしい」「少し苦みがあるけど、素朴で体によさそう」などと感想を話し合っていました。吉眞さんは「栃の実は縄文時代から食べられ、栃餅は山国のふるさとの味です。地域の味としていつまでも残しておきたいですね」と話していました。
参加者からは「皮をむくのがむずかしかった」「初めて餅をついたけど思ったよりむずかしかった。とてもおいしかった」「娘が『モチモチの木に“ほっぺたが落っこちるほどうまいんや”と書いてあった。どんな味か食べてみたい』というので参加しました」といった声が聞かれました。