3月23日(土曜日) 市内各所
育林や伐採、搬出、製材などの仕事内容、林業の現状や課題などについて、実際に林業に携わっている皆さんなどから話を聞く「飛騨市・森のしごと見学会」が開かれ、飛騨市森林組合や神岡町の谷口木材、古川町の柳木材、西野製材所の皆さんから講義を受けました。
飛騨市の産業の1つでもある林業は、山林での作業が主になるため、普段は市民の目にふれることがあまりありませんが、実際はさまざまな工程に多くの皆さんが関わっています。こうした現場の声にふれていただくことで、より多くの人に林業に関心を持っていただこうと企画したものです。
市役所の講義では、戦争や戦後の復興で木材の需要が急増したために一時的に国産木材が不足して価格が急騰したことや、その影響を受けて外国産の木材の輸入が本格化したこと、木材不足に対応するためにスギやヒノキなどの針葉樹を植えて拡大造林政策が図られたこと、人々が生活で使う燃料が薪や炭から電気・ガスへと変化したことなどの経緯があり、国産木材の価格が低下したり、植林から伐採までに50年ほどの長い期間がかかるため、林業が経済的に成り立ちづらい現状にあると指摘。行政からの補助金交付や、林業の大幅な機械化や効率化が進むことで成り立っていると説明しました。
また、飛騨市では、これまでほとんどが製紙・燃料用として使われてきた小径広葉樹も、上手に活用することで付加価値を高めようと、林業・製材・商品の企画開発製造・販売・建築などさまざまな事業者が連携して取り組んでいることなどを紹介しました。
その後、参加者はバスで移動しながら、林業の第一線で活躍する人々から現場での課題や展望などについて話を聞きました。
飛騨市森林組合では、上崎強さんから同組合の概要や行っている各種事業の内容、保有している林業用の重機などについて説明を受けました。また、実際に働いている人の生の声や作業の様子を伝える動画なども視聴。上崎さんからは、近年は重機が値上がりしていることや、作業道を造成したり育林中の下刈り作業が大変であることなど生の声も聞きました。参加者は「ドローンの活用はどのくらい進んでいますか?」「チェンソーなど作業で使う機器への補助はありますか?」といった具体的な質問をするなど熱心に話を聞いていました。
かつて木工会社に勤務し、今は五色ヶ原の森などのガイドをしているという高山市の柳瀬正俊さんは「今の仕事のステップアップにつなげたいと思い、森林について専門家から話を聞いて詳しく知ろうと参加しました。林業ではチェンソーを使うというイメージが強かったですが、機械化が急速に進んでいることが分かりました」などと感想を話しました。
株式会社谷口木材では、ナラの薪にこだわって販売されていること、近隣に電線や家がある場合には木に登って伐採すること、施業をする際の荷物の重さなどの現場の様子を聞きました。
株式会社柳木材では、飛騨地域から伐採されてきた広葉樹原木の流通と多様な樹種の話を聞き、原木から製材へ加工する株式会社西野製材所では、乾燥に時間がかかることや製材時に出るバークは飛騨牛の寝床になったり余すことなく利用されていることを聞きました。