4月27日(土曜日)飛騨みやがわ考古民俗館
飛騨みやがわ考古民俗館で長さ約1.2メートルの「大型石棒」常設を記念するギャラリートークが開かれました。この石棒は同館近くの宮川町塩屋地内にある島遺跡で2008年に発掘されたもので、館内の展示内容を一部リニューアルし、製作工程が分かりやすく展示されています。
この日は市文化振興課の学芸員・三好清超さんが講師を務め、旧石器時代から縄文時代にかけて宮川沿いの谷あいに住み続けた人々の暮らしぶりを、狩猟用の石鏃(ぞく)や土を掘る時に用いた打製石斧(ふ)を始め、煮炊きや祈りに使われた土器などを紹介しながら解説しました。
中でも、子孫繁栄などの祭祀に使ったとされる男根を模した石棒は数多く展示されています。リニューアルされた石棒のコーナーでは原石から完成品に至る製作工程が分かるように展示方法を工夫、ターンテーブルを使ってあらゆる角度から鑑賞できるようにしたものもあります。
三好さんによると、この地域には石棒の製作に適した柱状節理と呼ばれる規則的な割れ目を持つ地質が見られることも、石棒が多く作られた理由の一つ。「全国にはこうした博物館がたくさんありますが、1000年にわたり石棒を作り続けたことから製作過程や石棒祭祀の移り変わりが分かるのは、この館の最大の特徴です」と話しました。
参加した愛知県の倉田裕明さんは「初めて来ましたが、豊富な資料と解説を通して石棒の使われ方などがよく理解できました。縄文時代とはいえ、暮らしぶりはかなり高度だったことが認識できました」、また高山市の金柄光俊さんは「当時の人々がこんな山奥でどんな暮らしをしていたか、どんな遺物が見つかったのか知りたくて参加しました。展示品は多く、展示方法も分かりやすくて感心しました」と話していました。
同館では今年度、IoT機器による遠隔操作を活用して無人開館をスタートし、開館日が従来の30日から150日間と大幅に拡大しました。このうち有人開館は3連休などを利用して行われます。開館は9時~17時(入館16時半まで)、無料。問い合わせは文化振興課0577-73-7496へ。