5月4日(土曜日)飛騨市美術館
故郷神岡を愛し、創作活動の原点という高原郷を描き続ける洋画家・上葛明広さん(東京都)の企画展「高原郷がよみがえる瞬間」の開催を記念し、飛騨市美術館でトークイベントが開かれました。
上葛さんは東京芸術大・同大学院で油絵を専攻。卒業後はオーストリアに留学して研さんを重ね、長年、女子美術大(現名誉教授)で後進を指導。今なお各地で個展を開き、昨年、紺綬褒章を受章されました。
この日は創作活動の原点となった「高原郷を語る」をテーマに、神岡の町や自然に詳しい和仁邦雄さんと、写真家の尾内治良さんを交えてトークイベントが開かれました。話題は高原川など町の風景が描かれた作品と、尾内さんが撮りためた写真を対比させながら、上葛さんの作品との関わりなどについて話し合われました。
思い出深いモチーフとして、上葛さんは和佐府にある樹齢100年を超す梨の木にスポットを当て、「原野に立ち、空の青にくっきり浮かび上がる梨の木が好きで、帰京するたびに眺めに出掛けます」「坂の多い神岡は家々が重層的に目に映り、よく作品にしました」などと紹介。また、和仁さんは赤い屋根が印象的な鉱山病院や高原川に架かる橋がくっきり浮かんだ作品『盛夏 神岡風景』を取り上げ、数少ない水彩画の魅力についても語られました。
トークイベントに先立ち、都竹市長は“上葛芸術”のすばらしさを絶賛し、「作品からは神岡に対する愛情を感じ、心に響く作品ばかりです。特に印象的な独特な青に交じる色合いがすばらしく、心に残ります」とあいさつしました。
上葛さんの企画展「高原郷がよみがえる瞬間」は8月4日まで飛騨市美術館で開催中です。時間は9時~17時(入館16時半)、月曜休館(祝日の場合は翌平日)、入館料は200円、高校生以下無料。なお第3日曜日は「家族ミュージアムの日」により無料。