5月19日(日曜日)安国寺~高原諏訪城跡~江馬氏館跡庭園
現神岡町を拠点に活躍した戦国武将・江馬輝盛の遺跡をめぐるバスツアーが開かれ、輝盛最後の戦となった「八日町の戦い」にちなんだ安国寺や高原諏訪城跡などを見学しました。このツアーは江馬氏館跡を地域資源として利活用する飛騨神岡街づくり実行委が主催し、市民ら約30人が参加しました。
車中、学芸員の大下永さんから飛騨の戦国史について学びながら最初の訪問地である安国寺へ。当時、江馬氏の領域内にあり、手厚い保護を受けたという同寺では住職の堀祥岳師が江馬氏とのつながりなど様々な言い伝えを紹介。この後、境内にある飛騨唯一の国宝「経蔵」や輝盛の墓を見学しました。
八日町の戦いは飛騨で勢力を拡大した三木氏との合戦で、討ち死にした輝盛の墓は安国寺僧の手で建てられたと伝えられています。墓近くには次々と命を絶ち、十三墓峠の名の由来となった13人の家臣を祭る石碑もあり、参加者は輝盛最期の時に思いを馳せました。
続いて、一行は江馬氏の本城とされ、下館の背後に位置する高原諏訪城跡に向かいました。バスを降り、山頂の主郭まで20分ほど歩きながら城の防衛ラインとなったいくつもの堀切や竪堀、切岸、兵が駐屯した曲輪などを見学。広々とした主郭跡では眼下に広がる神岡の町に歓声を上げ、記念写真を撮影したり…。
また、足下に延びる越中東街道や、正面には傘松城の遺構がある観音山も眺めることができ、大下学芸員は「当時はこの観音山から本拠地に攻めてくる敵を監視したといわれています」と。参加した三重県の平岡稔さんは「飛騨は山城が多いですね。これまでに小島城や古川城の遺構も見学しましたが、規模が大きくてわくわくします。兵士や戦の様子を思い浮かべ、歴史ロマンに浸っています」と話していました。
一行はこの後、江馬氏代々の居館で国名勝に指定されている「江馬氏館跡庭園」を見学し、庭園を眺めながら昼食を楽しみました。