5月25日(土) 市役所、杉崎公園グラウンド
ヴェルディ川崎、横浜マリノス、FC岐阜などサッカーJリーグチームの監督やコーチを歴任し、サッカーワールドカップへの帯同などの経験をもつ、岐阜県サッカー協会技術委員長・FAコーチの松永英機さんを招き、「『Players First(プレーヤーズファースト)』~選手が主役を目指して」と題したスポーツ講演会が開かれました。
サッカーに限らず、さまざまなスポーツに挑戦する選手への指導のあり方や選手との接し方、具体的な指導方法などを学ぼうと、飛騨市スポーツ協会や飛騨市サッカー協会、飛騨市スポーツ少年団が飛騨市制20周年記念事業の一環で開催。当日は、学校部活動や地域のクラブチームの指導者、スポーツ少年団などで活動している子どもたちの保護者、実際に競技を行っている中学生や一般の方など約35人が来場。市スポーツ協会の堀辺明子会長は「少子化や子どもたちのスポーツ離れがどんどん進んでいます。子どもたちにどうやってスポーツに親しんでもらうかというのが私たちの課題。今日学んだことを練習、指導に取り入れて今後の活動につなげていただけたら」などとあいさつしました。
第1部では座学が行われました。松永さんは自身の経験をふまえながら、日本人のスポーツのとらえ方や指導のあり方が、世界的に見るとかなり特異であると指摘。特に「個の育成」「タレントの発掘」「生産性(プロ選手の育成)」などが世界基準で比べると圧倒的に低いと説明しました。ただ見ているだけの指導が多いことや、経験や感覚だけで指導してしまうことの弊害についても指摘。観察や指示・説明だけでなく、その時々の行動や考えについて選手に問いかける、選手自身に課題を発見させ気づかせる、課題を解決するためのメニューを選手自身に委ねるといった指導が重要だと述べました。
また、育成指導者に求められる要素が「理解と実践」「マネジメント」「パーソナリティ」であると説明し、それぞれの項目ごとに自己分析をするワークショップも行いました。他に、過去と現在では重要視される価値観が変化していることを説明しながら、スポーツの世界でも「物を投げつける」「大声で威圧的に罵声をあびせる」「関係ない雑用を強制する」といったパワハラが存在すると指摘。「プレーヤーが主役であり、コーチはサポート」であることを前提に、選手へのリスペクトを持って指導にあたることや、選手のちょっとした変化を見逃さずに気づいてあげることの大切さなどを説明しました。
第2部では、古川町の杉崎公園グラウンドに会場を移し、「Enjoy」をテーマに実践的な講習会を行いました。松永さんは、部活動や地域クラブなどでサッカーに取り組む中高生ら52人を対象に、楽しみながら体を動かすゲームやトレーニングを指導。講習会に参加した指導者の皆さんも一緒に体を動かしたり練習を見守りながら、学びを深めました。
吉城高校の岡野義和さんは「プレーヤーズファースト、選手第一という考え方で、指導者だけでなく、保護者の方や地域の方々などみんなで子どもたちを見ていくことが大切だと学びました」「松永さんがおっしゃった日本サッカーの今後の指針に向けて、みんなで頑張っていきたいです。岐阜県の特徴的な文化である『結』とか『合力』など、その土地土地の良さをサッカーを通して出していくことで、みんなが地域への誇りを持ち、今後の人生に生かしていけたら」などと話していました。