5月30日(木曜日) 古川町公民館
「飛騨市ダイバーシティ宣言」が作成され、今後「ダイバーシティのまちづくり」の取り組みを本格的に進めようと、キックオフ講演会が開催されました。
ダイバーシティ(Diversity)とは「多様性」を意味する言葉で、さまざまな違いを持った人々が互いを認め合い、誰もが自分らしく共存できている状態のことを指します。宣言では「ともに幸せを描こう」をスローガンに、それぞれの違いを受け入れながらともに暮らせるまち、課題を自分ごととしてとらえて相手の立場を尊重しながら住みやすいまち、支え合いながら誰もが安心して心豊かに暮らせるまち、をつくることを明記しています。
今回は、ダイバーシティの考え方や市の方針への理解を深めてもらい、「ダイバーシティのまちづくり」への機運を盛り上げようと企画。岐阜県人権啓発指導員である佐野篤さんを招き、「一人ひとりの人権が尊重される社会―互いの違いを認め合い、支え合う人権文化豊かなまちづくりを目指して」の演題で講演会を開きました。
佐野さんは、ダイバーシティを目指すうえで互いの違いを知ることが大切である一方、考え方や宗教、アレルギー、性自認など見た目では分かりづらい違いが非常に多いと指摘。弱い立場の人は声をあげづらい環境に置かれており、その困難が気付かれにくいことも説明しながら、「もし自分だったら」という視点や、想像力や共感力が必要になると強調しました。
また、互いの違いを受け入れたり、違いを個性として社会で生かす方向に向かうと、各人の能力が存分に発揮されたり、価値観や世界観が広がって組織や団体、社会の変革が起きやすくなるなど、ダイバーシティのメリットなども紹介。無意識の思い込みなどから偏見や差別が生じることもあり、まずは自分の思い込みに気付いてほしいと話し、自己点検表を示しながら振り返りを呼びかけました。
受講した古川町の釜洞弘子さんは「脳梗塞になって6年目ですが、リハビリを続けてきて、ようやく人とのやり取りができるようになってきました。今は日本語よりも英語の方が発音しやすいので、困っている外国の方などを見かけたら話しかけるように努めています」「ヘルプマークを着けていても伝わらないことがあるので、自分の状態のことを知ってもらう文章を記した紙を携帯しています。今日の講演は内容が良かったですし、収穫もありました。想像力と共感力の話が印象に残りました」と感想を話していました。
講演終了後は、ダイバーシティ推進委員や有志の皆さんが集い、岐阜県コミュニティ診断士の皆さんからアドバイスを受けながら、今後ダイバーシティのまちづくりを具体的にどう進めていくか、市民への意識付けや定着をうながすにはどのような活動をしていけばいいかなどを話し合いました。