7月6日(土曜日)市役所
富山大学と飛騨市との連携による市民向け健康講座「漢方医学の基本的な考え方」が開かれました。この講座は昨年に続き、富山大学和漢医薬学総合研究所の教授から和漢薬に関する研究と成果を5回にわたって学ぶものです。
2回目の今回は、同研究所和漢医薬教育研修センターのセンター長で漢方治療の第一線で活躍する柴原直利教授を招き指導していただきました。柴原教授は漢方医学ならではの「陰陽・虚実」や「気血水」「五臓」といった西洋医学には見られない医療の考え方を解説し、それぞれ症例を示しながら処方する漢方薬や病が改善するまでの過程を紹介。
その一つ「陰陽・虚実」について柴原教授は「自然界には陰と陽という二つの事象が存在しますが、人体においても陰と陽がバランスよく調和することで健康が維持されています。このバランスが乱れると、生体は修復反応を示し、さまざまな症候が生じます」と話していました。
柴原教授はこうした症候を方剤(漢方薬)を投与して修正し、もと通りの体にする漢方医学の考え方を示し、体を温めたり、冷やす西洋医学には見られない各種方剤や効能などを紹介。さらに方剤と同様、果実や穀物、香辛料など食品にも陽性食品や陰性食品があることを教えていました。
また、漢方医学では気血水の3要素が体内を循環することで生体を維持するという考え方を解説。気は生命活動を営むエネルギーのことを指し「体がだるい」「食欲不振」など気の量に不足を生じた「気虚」、抑欝傾向を伴う「頭重感」など気の循環に停滞を来たした際の「気欝」の諸症状、方剤などを紹介しました。
このほか肝、心、脾、肺、腎の五臓それぞれの失調による症候や漢方治療について教え「それぞれバランスのとれた体をつくる大切さ」を説かれていました。
古川町の鎌村邦子さんは「これまで新薬をたくさん使いましたが改善しないので、一度漢方に頼ってみようかなと思います。しかし、近くに漢方薬を処方していただける専門医が少ないのが残念です」と話していました。