7月7日(日)古川郷土民芸会館
飛騨市美術館で開催中の企画展「上葛明広展~高原郷がよみがえる瞬間」関連イベントとして、上葛さんによる水彩画教室「水彩画を楽しもう!」が開かれました。企画展は油彩中心に展示され、水彩画はわずかですが、油絵とは異なった作品の美しさに来場者は目を見張っています。
今回は、そんな上葛さんならではの構図の取り方や配色など、水彩画のテクニックを学ぼうと、初心者から経験者まで23人が参加。中には富山県や東京都から訪れた人もみえました。
モチーフは花、果物、ポスターなどの静物で、背景に白い布を配してドレープの流れるような陰影も学べるようにしたそうです。受講者は仕上がりがきれいになるワトソン紙を受け取り、早速、鉛筆で下絵を描き始めました。
上葛さんは一人ひとりの作品を眺め「花瓶の底は直線でなく、正確に、見たままの曲線で描くと奥行きが出ます」などと指導し「下絵の鉛筆の線は消すか、残すかどうしたらいいですか」といった質問にも丁寧に答えていました。
また、ところどころでワンポイントレッスンを取り入れ「構図には十分な時間を取り、濃さの違う3種類以上の鉛筆を用意して太い線や細い線など、線を引く楽しさも実感してください。線の太さで遠近感を出すこともできます」「デッサンはそのままモチーフを写し取るのではなく、気に入った物や気に入らない物を選んで描きます。いろいろ経験してみてください」と実際に鉛筆や筆を手にして指導しました。
午後は彩色のテクニックを学ぶ時間です。最初に用紙を湿らせてマットな感じにするコツを教えました。こうした工程を経ると色のにじみやグラデーション、かすれなど幅のある美しい作品に仕上がるそうです。
ポイントは「濃い色は一度で塗らず、薄い色を塗り重ねることでより深みが増し、水彩がもつ重さや迫力が出ます」と。また「緑に赤を少し混ぜると、緑色の中でも最も密度の濃い色になります。補色の使い方で色彩に幅が出ることも覚えておいてください」「絵は描き進めるとどんどん変化するので、その過程で好みの色を拾っていくようにします」などと指導していました。
受講した神岡中2年の谷口瑠海さんは「学校に美術部がないので独学で描いていますが、いい機会になりました。色の乗せ方だけで絵の印象がずいぶん変わることなど大変勉強になりました。パレットはきれいにしておくように注意されたので気を付けたいです」と。高山市の溝添登久枝さんは「企画展を見て感動し、学生時代を思い出し参加しました。まるで芸術大学で学んでいるような気分で、もっと勉強したくなりました」と笑みを浮かべました。
富山市から訪れた片山哲也さんは「チラシの絵を見て感動し参加しました。地元で週1回水彩画教室に通っていますが、構図をたくさん描いたり、モチーフの美しい部分を描くことで1枚の絵が完成するといった心構えが大変参考になりました」と話し、このほか「切り取った風景だけでなく、キャンバスの外側まで広がる大自然を感じるような作品を描いてください、という先生の言葉を胸にこれからも描き続けたい」といった感想が寄せられました。