8月18日(日曜日)飛騨市民病院
医療職を目指す学生を対象に、市民病院の医師と看護師らが「新興感染症と闘う医療現場の実態」をテーマに模擬実演を見学したり、防護具の脱着体験、病院食の実食などを行いました。
将来、飛騨地域で活躍する医療人材を確保するため、飛騨出身で医療系の資格取得を目指す学生が対象で、昨年に続き2度目。今回は高校生3人が参加しました。
模擬実演は感染症の恐れがある患者の受け入れから退院まで、さまざまな場面で医療職が患者とどう関わっているかをシミュレーションしたものです。患者が救急車に備えられたアイソレーターというカプセル付きの担架で病院に運ばれると、診察やレントゲン検査の結果、新興感染症の疑いがあり、入院するという想定です。
クラスターなど感染拡大を防ぐため、CT室ではベッドに防護用シートを敷き、着用した寝間着は手渡ししないなど徹底した感染対策も再現していました。
見学後は医師の中林玄一さんがサル痘など新興感染症の具体例や検査体制、サーキュレーターなど院内の高度な設備について紹介。また、看護師による感染対策チームの指導で防護服の脱着、感染症専用マスクの付け方とフィットテスト、ねじり洗いといった手指衛生の方法とブラックライトによる洗い残しのチェックなども体験しました。
この後、医療職の皆さんとの懇談も行われ、生徒たちを引率した秘書の後藤弘子さんは「感染症の可能性がある患者の場合、救急隊からの情報収集や、どういう患者かといった医師と看護師、レントゲン技師との情報共有はとても大切です。家族の不安を軽減するため、家族を含めコミュニケーションはこまめに取らなければいけません」とアドバイス。
参加した横矢紗良さん(斐太高2年)は「医師や看護師の連携や声掛けなどコミュニケーションがよくとれていて、すごいと思いました。手洗いの仕方など感染対策を見直すいい機会にもなりました」と、倉家るみさん(吉城高3年)は「患者との接触に気を使いながら、声掛けなど常に患者に寄り添っている姿勢やチーム医療について学ぶことができ、いい経験になりました」と話しました。
また、松井紘人さん(高山西高1年)は「防護服を着け、体力のいる仕事だと思いました。医師不足に貢献できたらと参加しましたが、皆さんのコミュニケーション能力やチームのまとまりなど驚きの連続で、ますますやりがいを感じました。たくさん勉強して医者になるための適応能力を伸ばしたい」と力強く述べていました。
黒木嘉人院長は「今日の経験を生かし、将来は是非地元に帰って地域医療を支える人になってください」とラブコールを送っていました。