9月7日(土曜日) 古川町公民館ほか古川町市街各地
薬草や有用植物等を活用する取り組みを行っている団体や個人、薬草ファンなどが全国から集う「全国薬草フェスティバル in ひだ」が、古川町公民館や飛騨市文化交流センターの他、古川町市街地の飲食店などで開催されました。
前身となる「全国薬草シンポジウム」は、薬草の普及を目的に毎年、全国各地の薬草に関する活動が盛んな市町村を舞台に開催されてきましたが、人口減少や高齢化などの影響もあり、昨年の開催をもって一時休止することとなりました。しかし、休止を惜しむ声が多数寄せられたことから飛騨市が受け皿となり、「飛騨市薬草フェスティバル」から名称を変更し、装いも新たに開催することになりました。
当日は「健康生活」をテーマに市内外から72団体が出店し、多数のワークショップや薬草関連グッズの販売、展示などが行われました。薬草や野草を使ったお茶や調味料、石けんや入浴剤を作る催しや、自然や爪にやさしいエシカルネイル作りなど幅広いワークショップが数多く行われ、全国から訪れた薬草ファンでにぎわいました。薬草苗の無料配布には大勢の人で行列ができていました。
山形県から出店した「ミチノクの薬草魔女プロジェクト」が催すヨモギの蜜蝋バーム作りを体験した名古屋市の中澤遥さんは「お母さんに誘われて参加しました。蜜蝋バーム作りは案外簡単でしたが、家で作るにはちょっと難しいですね。冬に手が乾燥するので塗ってみたいです」、高山市から出店した「any」が開いた「みんなの地球石けん」作りを体験した愛知県岡崎市の相川真凜さんは「庭にノブドウなどが生えていて薬草が好きで参加しました。ワークショップでは香りと感触を楽しめました。今日作った石けんは家の洗面所で、見た目を楽しみつつ使い、手もきれいにしたいです」と話していました。
また、飛騨市の「Lib.」が出店した野草調味料作りを体験した名古屋市の50代女性は「薬草に興味があって、いろんなプログラムがあるので、興味深くて参加しました。全国から出店があって一度にいろいろなものを体験できるので、楽しみにしていました。野草調味料作りも楽しかったです。家で活用したいです」と笑顔で話していました。
この日は、飛騨市における薬草の取り組みや携わる人々などを紹介する書籍『薬草を食べる人びと~北アルプスが生んだ薬箱のまち・飛騨』が出版されることを受け、取材を担当した共同通信社の垂見和磨さんと、編集を担当した世界文化社の原田敬子さんによる出版記念講演「薬草のまちに魅せられて~私たちが本作りを決めた本当の理由~」も行われました。
垂見さんは、「究極のまちづくり」をテーマに全国の自治体を調査している中、本当にやる気がある自治体は3割で、7割は他の自治体のモノマネに終始していると指摘。飛騨市の薬草の取り組みは唯一無二のもので、本にできるくらいストーリー性のあるまちだったと称賛しました。また、飛騨市が推す薬草であるメナモミについて、その根拠を示す文献やデータを探すのに苦慮した裏話なども披露しました。
原田さんは、取材の過程で会った薬草に関わる飛騨市の人々との交流を紹介。さまざまな薬草の活用法やコツなども紹介しながら、「飛騨市の薬草へのアプローチにはいろんな方法があって、まだまだやれることがあるのではないかと感じており、可能性は広がると思っています」などと思いを語りました。