9月11日(水曜日)~12日(木曜日)千代の松原公民館ほか
古川町の千代の松原公民館には明治~昭和中期の古い公文書や、江戸時代の古文書など大切な資料がたくさん保管されています。しかし、保管状況や公開方法など心配される点が多いため、市教委は専門家を招いて「第1回歴史的公文書合宿」を開き、さまざまな資料の調査・検討を行うことになりました。
メンバーは岐阜大元教授で飛騨市文化財保護審議委員・早川万年氏、静岡文化芸術大・水谷悟教授、岐阜大・田澤晴子教授と市教委文化振興課など関係職員の皆さんです。初回は事業の進め方を確認し、保管状況を見学。その後、各自が資料を手に取り、疑似的に調査し、気づいた点を発表したり課題を話し合いました。
疑似調査の後、メンバーから次のような意見が出ました。
まず、今後の調査・整理作業に関して、資料の中にはプライバシーに関する個人情報なども見られ、中には遺族の不利益になると思われる記述があること。また、こうした内容に配慮した上で一般市民の力をお借りして作業が進められないかということなど。
また、内容に関して戦病人の補償関連には個人の戦歴が事細かに記され、歴史資料として大変面白いものがあるといった意見も。このほか新型コロナなどパンデミックの歴史を物語るコレラに関する資料、「請願」関係ではインフラ整備や災害対応等、歴史的事実を伝える資料も見られたそうです。
初日は夜会も開かれ、行政資料の価値や資料保存の重要性など、専門家の方々の講話を通じて認識を深めました。メンバーからは「行政職員として文書の残し方にも目を向けなければならないことに気付いた」「何を残すべきか、判断できないことがあるので、公文書館のような組織やアーキビストを育てる仕組みがあると良い」といった意見も出ました。
この歴史的公文書合宿は、(1)資料群を把握するための目録づくりといった調査・整理作業、(2)内容に関る価値付けなどの専門的調査、(3)資料の保存・公開といった3点を基本に進められます。
現在、保管されている資料は旧古川町時代より引き継がれた行政資料など約3500点、絵図や検地水帳など近世村方文書群が段ボール箱にして約80箱などで、この他にもあり、膨大な数に上ります。事業スケジュールは調査方針を立て内容を検討した後、令和8年度から調査・整理作業に取り掛かる予定です。