1月16日(火)吉城高校
吉城高校の3年生総合コースの生徒のうち、今春の進路が決まっている人を対象とした社会人実用講座が、全6回にわたって開かれています。
まもなく進学などのため親元を離れて1人暮らしを始める生徒や、就職してこれから仕事に取り組むことになる生徒らが、飛騨地域のさまざまな組織や企業の皆さんから、社会人として必要な知識や社会のマナーなどを学ぶもので、特別編成授業の一環として行われました。スーツの着こなしやビジネスマナーなど社会人としての振る舞い、働く上での基礎的な知識、税金や年金などお金に関する学びがありました。
16日には、高山税務署から依頼を受けた古川町の税理士法人ひだパートナーズ副所長で税理士の加藤光さんが同校を訪問し、「租税教室」の講座を行いました。
加藤さんは、社会インフラの整備や福祉、教育、医療など、個人や企業の力だけではできない公的なサービスを実施するには膨大な資金が必要で、その資金として用いられるのが税金だと説明。税金には、公的サービスを提供するための「財源の確保」、所得や資産の格差などの経済的な不平等を是正することで多くの社会問題の解消をめざす「所得の再分配」といった役割があると紹介しました。
また、財政法では原則として公債発行、「借金」は認められていないにも関わらず、大幅な税収不足を背景に特別立法でさまざまな国債を発行し続けていると指摘。主要先進国の中でも日本はその依存度が最も高い水準にあると説明しました。
「公立の学生1人あたりの税金で負担する年間教育費はいくら?」「税金にはどれくらいの種類があるでしょう」などクイズ形式で生徒に問いかけたり、普通税と目的税、直接税と間接税、国税と地方税などに分かれ、50種類ほどの税金があることを紹介しました。所得税は、たくさん稼げる人に多く負担してもらうことで公平性を図る一方、商品やサービスの販売や提供などにほぼ一律に課される消費税は、所得の低い人ほど負担感が強くなると説明。日本では、広く税金を徴収できる消費税に重きが置かれつつあり、税率がさらに上がる可能性も指摘しました。
「納税は義務ですが、私たちの生活をより豊かで健康なものにしていくために必要」「たくさん稼げる人は、税金を多く納める力のある人ということ。税金に対して正しい知識と理解をもち、しっかり稼いでしっかり納めてください」と呼びかけました。
受講した柚原仁美さんは「買い物をする時、税金がかかって『高いな』とか『税金をとられている』という感覚がありましたが、今日のお話を聞いて、納められている税金で私たちも学校に通えていることが分かりました。具体的な事例を聞くと、税金を身近に感じられました。理解をもった納税者をめざします」と感想を話していました。