11月13日(水曜日) 古川町公民館
企業における新たな「人材」として、副業や兼業に取り組む人々を有効に活用するノウハウや事例などについて学ぶ講座「新たな人材活用セミナー~はじめての副業・兼業人材の活用」が開かれました。
社員の採用・雇用環境が厳しくなっている中、専門的なスキルを生かして副業や兼業に取り組んでいる人々に協力を求め、企業が抱えている課題の解決を目指そうという試み。具体的な手続きやコスト、これまでの効果的な活用事例などを学び、経営課題の解決につなげてもらおうと、高山信用金庫と岐阜県プロフェッショナル人材戦略拠点が共催しました。
当日は、(株)リクルート ソーシャルリレーション推進部 サンカクグループの川島洋輝さんが講演しました。都市部の大手企業に勤務する高度人材は、大きな組織の一部として働く中で自己実現ややりがいを求めており、地方への貢献などを望んでいると指摘。働き方改革で余暇時間が増え、そこで生まれた時間を自分のキャリア投資に使う傾向があったり、コロナ禍を経るなどしてテレワークを経験したことで、都市部に住みながら地方の企業からの依頼を引き受ける流れが加速していると紹介しました。
本業があっても月20時間以上関わってくれるケースが多いこと、コンサルタントと違って金銭的な報酬よりも「スキルを生かしてどんな貢献ができるか」といった精神的な報酬にこだわる人が多いこと、一般的に考えられている以上に多くの応募が寄せられる現状などを説明。具体的な成功事例を示しながら利用方法も説明しました。
また、岐阜県プロフェッショナル人材戦略拠点 統括サブマネージャーの酒井則雄さんは、年々厳しさを増す人材不足の現状から、内閣府の取り組みとして全国で副業・兼業人材の活用が推進されていると説明。「女性を採用したいと考えれば、女性用のトイレや更衣室、休憩室の整備をしてようやく可能になる。採用したいと考える人の事情や要望に合わせ、働ける環境をつくることが大事。飛騨地区での採用は、移動をともなうので難しい現状がありますが、何もしないのではなく挑戦してほしい」とエールを送りました。
当日は、副業・兼業人材の活用に関心がある市内の事業所の経営者や人事担当者などが参加し、メモを取ったり質問をしたりしながら熱心に耳を傾けました。
参加した古川町の(株)Assiston飛騨の井ノ上尚志代表取締役は「人材をめぐる課題はずっと言われていますが、小さい会社に人が回ってくる可能性は低いので、ピンポイントで活用するのは必要だと感じました。マッチングなどで難しさはありますが、1つの選択肢として『あり』かなと。飛騨の中高生が他地域に流失してしまうのも心配しており、残ってもらえるような会社になるのも課題だと考えています」と話していました。