12月1日(日曜日)飛騨市文化交流センター
全国の小中学校に発達障がいや不登校など、取りこぼしのない「学校作業療法室」を設けようと、飛騨市は合併20周年を記念し「ウエルビーイングフォーラム」を開催しました。日本初という、この画期的な取り組みを学ぼうと、会場には全国から教職員や自治体関係者、保護者、学生ら約350人が訪れました。
フォーラムは今年で5回目を迎えました。冒頭、都竹市長は「学校作業療法室は国の評価も高く、この1年で認知度が大きく広がり、採用する自治体も増えてきました。本日は飛騨市の実践はもちろん、登壇される方々の話に耳を傾けていただき、実りあるフォーラムになればと思います」とあいさつ。
続いて、飛騨市の学校作業療法室専属作業療法士・奥津光佳さん(NPO法人はびりす)を始め、国内外で活躍する大学教授ら作業療法士(OT)などが登壇し、講演やパネルディスカッションを行いました。
メーンはOTを取り入れて半世紀以上という長い歴史があるアメリカの学校で、20年以上のキャリアを持つ松田直子さん(メリーランド州公立学校所属)によるアメリカの実態や、飛騨市の取り組みなどに関する講演です。松田さんは「OTは、AIに取って代わることがない人気のある職種です。しかし、日本ではあまり知られていないことに驚きました」と前置きした後、自身が在籍する学校の取り組みを紹介しました。
その一つ、アメリカでは人権擁護は親の義務で「培われた長い歴史はいくつもの法律で支えられています。子どもたちは皆、学校に行かなければならず、不登校は違法です」と。それだけに子どもたちは手厚い支援を受けており「学校では個別の教育計画や包括的な評価がしっかりしています。すべてのプロジェクトに対して保護者の同意が必要で、不服の申し立てもできます」と話していました。
また、教材などに関して「ユニバーサルデザインが浸透し、OTが入りやすい環境になっています。しかし、社会のニーズは変わっていくので改善すべきことは多々あります」「(アメリカでは)長い年月をかけて培われたことばかりですが、飛騨市ではすでに子どもたちのメンタルヘルスへの支援に取り組むなど、50年かけてたどり着いたことがすでに実施されていて驚きました」などと話しました。
この後、福島県立医科大学教授の倉澤茂樹さんによる講演や、奥津さんらが古川小学校で取り組んだ活動を「作戦マンの白熱教室~飛騨モデルの実践」と題して報告しました。また、パネルディスカッションでは都竹市長を交えて飛騨市の取り組みなどについて「行政の支援やサポートシステムがあれば、生まれてくる子どもが障がいを抱えていても、不安が軽減できます」などと話し合われました。
なお、会場には学校作業療法室開設を目指す大阪府河内長野市の西野修平市長や長野県駒ケ根市の本多俊夫教育長らも駆けつけました。