12月15日(日曜日)市役所
薬草に関する市と富山大学との連携事業「市民健康講座」(全5回)の最終回「免疫システムと和漢薬」が開催され、市民ら35人が参加しました。講師は富山大学和漢医薬学総合研究所の早川芳弘所長が務め、体を病原体から守る免疫システムなどについて解説されました。
最初に「免疫学」の基本として、人体には「自然免疫」と、細菌やウイルス、寄生虫などの病原体を識別して体を防御する「獲得免疫」の2種類が存在すること。また、前者は人を病気から守る先天性の免疫細胞で、後者は一度かかったら二度と同じ病気にかからない後天性の細胞であると教えられました。
続いて、自然免疫において重要な役割を担う免疫細胞について話されました。その一つ、「好中球」は細菌などの異物を取り込み、消化、殺菌、分解して膿(うみ)として排出し、「好酸球」は寄生虫に感染した時などに殺虫効果があるります。また、ある種のガン細胞に対して活性化する大型リンパ球の「ナチュラルキラー細胞」についても説明がありました。
一方、これらの免疫細胞と病気の関係に関し、免疫からの攻撃を回避する細胞が存在すること、花粉や食品、薬剤などに対して過剰な免疫反応が起こり、鼻水や下痢などの症状が出ることなどが紹介されました。また、ガン細胞が攻撃を回避できないように、細胞の働きを止めてしまう治療法についても紹介がありました。
次に免疫と和漢薬の関係について、早川さんは免疫の働きを抑える細胞を増やさない治療法として、和漢薬が注目されていることを紹介。中でもガン細胞の転移抑制に期待される「十全大補湯」が注目されていることを教えられました。このほかにも漢方薬そのもので腸内細菌の環境が変わり、薬効が働くことなどについても紹介されました。
講座終了後、参加者から「免疫に腸内環境が関与していることが理解できました」「腸内細菌を増やして健康を維持したい」「ガン患者から免疫療法でガンが小さくなり、手術された話を聞きましたが、今日の講義で理解できました」「健康に過ごすために役立つ情報を得ることができました」などの感想が寄せられました。