2月18日(火曜日) 市役所
飛騨市が進める市内企業の魅力情報発信事業の一環で、各事業者の人材確保力の強化を目的としたセミナーの第4回目「選ばれる企業となるための人材育成セミナー~リスキリング、兼業・副業、人的資本経営~」が、飛騨市と飛騨市経済連合会の共催で開かれました。
民間調査会社による近年の就職状況調査によると、大学生が就職先を決める際にもっとも大きな判断基準としているのは「自らの成長が期待できること」だそうです。事業者側の「社員の成長を後押しする」姿勢や取り組みが必要な時代になってきていることから、今回は、岐阜大学地域協学センター助教の後藤誠一さんを招いて「企業にとってなぜ人材育成が重要か」をテーマに開催。市内の経営者や人事・労務担当者など7人が受講しました。
後藤さんは、近年の少子高齢化や人口減少など社会の変化を背景に、働き手から企業が選ばれる時代になっていると指摘しました。働く環境ややりがい、人としての成長など働き手が感じる「幸せ」の実現に企業がどう貢献できるかが重視されてきていると説明。先行き不透明な時代や社会の変化に対応するには人への投資が重要だとし、新たな仕事や職場環境にも対応できるよう、従業員の学び直しによるスキルアップ、新しい知識や技術の習得を支援していく必要があると強調しました。
また、日本の労働者は世界でもトップレベルの読解力や数的思考力を有している一方、働くことへの幸福度や成長志向、自己研鑽への投資割合は世界と比べてかなり低いとデータを示しながら解説。労働者の満足度や幸福度の向上、働くうえでの不安を解消する1つの工夫として、自分の能力を生かして収入アップだけでなく社会貢献や自己実現、スキルアップにもつながる「兼業」や「副業」が有効だと呼びかけました。「兼業」「副業」は、新たな知識や人脈の獲得、スキルアップ、新規事業の創出にもつながるとして、本業へも良い効果をもたらす可能性があると強調。「兼業」「副業」によるキャリアアップを支える仕組みづくりが必要なことや、経営者と労働者の双方が「学びは大事」という意識をもつことが良い組織をつくるなどと訴えました。
講演の後は後藤さんを交え、参加者同士の意見交換の場もありました。参加者からは「季節によって繁忙期と閑散期があるので、一年を通しての平準化を図る意味でも副業などを活用したい」「会社側のメリットを考えて副業を支援すると、結果的に副業が本業の延長のような形になって長時間労働につながらないか」「本業への貢献を考えるばかりでなく、まずは従業員に楽しんで取り組んでもらうことも大事では」といった意見が寄せられました。
参加した柏木工(株)取締役の井之口泰幸さんは「副業は、単に副業だとしか思っていなかったんですが、副業を通じて新たにスキルや知識を習得する『リスキリング』につながっていくと分かりました。副業でリスキリングをして本業に生かしてもらうというやり方があるというのが一番の学びでした」などと感想を話しました。