3月12日(水曜日) 市役所
肥料メーカーのサンアグロ(株)、JAひだ、飛騨市が「飛騨市発 脱プラスチック肥料の開発・普及にむけた連携協定」を締結することになり、3者による連携協定式が開かれました。
国内で広く普及している水稲用肥料のうち、表面をプラスチックでコーティングしたものは成分がゆっくり溶け出すため春に一度まくだけで良く、肥料をまく手間が軽減されることもあって広く普及しています。一方、肥料の表面を覆っていたプラスチックはその後に分解されにくく、水田の中に長く残留したり、河川や海へ流出してマイクロプラスチックとなって環境を汚染する一因になっていると指摘されています。
今回は、こうしたプラスチック製の「殻」を使わず、微生物が分解して水に溶け作物の養分にもなる「硫黄」で表面を覆った一発肥料を使う実証実験を行い、肥効やコストなど有効性の証明や、飛騨地域に合ったものを開発して普及を図ろうというもの。協定は、この取り組みによって豊かな自然と農地を後世に残し、持続可能な農業を実現しようと3者が協力し合う体制を整えるものです。
サンアグロ(株)は硫黄被覆肥料を用いた脱プラスチック水稲用一発肥料の提供、JAひだは脱プラスチック肥料の評価と生産現場への円滑な流通、飛騨市は実証実験への協力と脱プラスチック農業についての情報発信を担うことになります。また、タカヤマモチについての実証実験には市内の水稲農業者5団体、コシヒカリについては同じく3団体が協力する予定です。
連携協定式には、サンアグロ(株)代表取締役社長の高橋健さん、JAひだ代表理事組合長の志田浩一さん、都竹市長が出席し、協定書にサインを交わしました。
都竹市長は「3者でこうした前向きな取り組みを始められるのは大変すばらしく、全国的にも珍しい画期的なこと。海のない、山間の小さなまちがマイクロプラスチックの問題、環境保全に少しでも貢献し、取り組みの発信をしていくことは意義があることと感じています」などとあいさつしました。
また、JAひだの志田組合長は「農家さんや組合員さんの所得の向上と環境保全を、矛盾することなく両方を進めていかなければなりません。飛騨全域の農家さんにもお伝えして進めていきたい」、サンアグロ(株)の高橋社長は「私たちにとっては初めての取り組みで大変意義深く思っています。この取り組みを通じて地域農業の持続可能性を高め、将来にわたり安心して暮らせる地域づくりに貢献していきます」などと意気込みを述べました。
協力する農業者を代表して出席した(有)エイドスタッフ代表理事の田中一男さんは「プラスチックの廃殻に最初はびっくりしましたが、2~3年経つと慣れてしまって使い続けてきたというのが正直なところ。最近になって硫黄被覆の肥料も価格差が無くなってきたので、こちらへという流れになるのは自然なことと思います」と話していました。