5月16日(木曜日)市役所
飛騨地方は県内でも群を抜いてクマの出没件数が多く、例年5月になると一気に増加します。このため、市農林部林業振興課ではクマの生態や遭遇しない心構えを学んでいただく研修会を行いました。最初に同課担当職員が県の資料を基に被害状況を報告。それによると県全体では4、5年の周期で大量出没し、昨年は450件と令和元年の600件に次いで多く目撃されました。
昨年の状況を月別で見ると、6月が120件でピーク、それ以降徐々に下降しています。人身被害は令和元年がここ20年間で最も多く、県全体で13人に上りました。次いで平成26年が8人、昨年は7人でうち飛騨は神岡町で1人が被害に遭いました。薄明薄暮性のクマは朝4時頃から急増し、7時頃にピークを迎えます。夕方は日が落ち始める5時頃がピークになります。
担当職員によると、朝夕以外でも里に下りて来るクマは人と遭遇しないよう、夜行動することが多いので「夜間の独り歩きは避け、話をしながら歩くように努めてください」と呼びかけています。
続いてクマに出会わない、出会ってしまった時の対策について市鳥獣対策サポートセンター職員が指導しました。まず、クマの生態ですが視力は夜になると人の50倍といわれ、臭覚も非常に優れています。そんなクマを避けるには鈴やラジオで人の存在を知らせること有効ですが、万一出合ってしまった時は「刺激しない」「逃げない」「目をそらさず、背中を見せない」の3点が大切で、その後、そっと後ずさりして距離をとると良いそうです。
また、笛や爆竹などは遠くにいる時は有効ですが、近くにいる時は刺激するので逆効果です。市販されているクマ撃退スプレーも有効です。
続いて、もし攻撃された時は(1)首、顔、後頭部をかばって伏せること、(2)リュックなどで背中を守る、(3)体を返されないように足を広げて伏せることを心掛けてほしいと、実演を交えて指導しました。ちなみにクマが人を襲う時は「突然人と出合うなど、びっくりして危険を感じた時」「イライラしている時」「子どもを守る時」「食べ物を奪う時」などだそうです。
クマを誘引する最も大きな原因では収穫しない果樹や残飯の放置が考えられるため、収穫しない果樹の処分を呼びかけ、里の食べ物を覚えさせないことが重要だと話していました。
なお、市では放置された果樹の伐採事業補助金など鳥獣対策に関する補助制度の利用を呼び掛けています。問い合わせは林業振興課0577-62-8905へ。